Yappyと8人タッグマッチで対戦した朝陽はこの大会が復帰戦。中学時代にデビューし、一時は試合から離れていたが高校卒業を機にアイスリボンのスタッフとなり、そこからまた練習を重ねてリングに戻ってきた。アジャコング＆NATSUMIと対戦した星ハム子と星いぶきは実の親子。いぶきは“高校生レスラー”でもある。業界トップの一角、高橋奈七永とシングルマッチを行なった春輝つくしもキッズレスラー出身だ。

　とにかく選手ごとに独自の背景、物語がある。中学生もいるし他に仕事をしている者もいて、出身地もさまざま。けれど彼女たちには“女子プロレス”という共通言語がある。それさえあれば十分だとも言える。

8人タッグマッチは若手興行P'sParty提供試合。朝陽ら新鋭が集結した

山下vs.鈴季は“横浜武道館最初のデスマッチ”

　FantastICE選手権、山下りなvs.鈴季すずはデスマッチ。チャンピオンの山下は、アイスリボンのデスマッチ路線を開拓してきた世羅りさに勝ってベルトを巻いた。今回が初防衛戦だ。挑戦者のすずは世羅のデスマッチを見てアイスリボンに入団した18歳。昨年は団体頂点のベルトICE×∞を獲得し、今年に入ると「ハードコア七番勝負」を敢行した。相手は全員、男子選手だ。

　2人の対戦ならデスマッチは必然だ。会場は昨年オープンしたばかりで規制も多かったという。だが何度も話し合いを重ねて、凶器の破片が飛び散り流血の可能性が高い試合が許可された。選手の導線は入念に養生がなされ、インタビュースペースもこの試合のみ別室。運営側の尽力もあって実現した“横浜武道館最初のデスマッチ”だったのだ。

デスマッチとして行われた山下りな（右）vs.鈴季すず

　流血の末に敗れたすずは言った。

「（初めて蛍光灯を凶器に使って）痛いけど幸せでした。この試合で鈴季すずのデスマッチ愛が伝わりましたよね。今日のデスマッチはみんなの協力がないとできなかった。これから100年経っても、横浜武道館で最初にデスマッチしたのは誰だって言ったら山下りなと鈴季すずの名前が出るんです。伝説作りましたね」

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