「数字とれりゃいいのかよ。バカにすんじゃねえぞ」

　勝った山下は、今後もデスマッチをやっていく、道を作っていくと語り、続けて一部ネットメディアに苦言を呈した。自分の試合ではなかったが、アイスリボンのデスマッチに興味本位の下世話な見出しをつけられたことに怒ったのだ。

「数字とれりゃいいのかよ。バカにすんじゃねえぞ。こっちは命かけて試合してんだ」

　これ以上ファンや選手を困らせるようなことをするなら“出禁”にするとも。それくらい言わなければいけないという危機感が山下にはあった。プロレスは色眼鏡で見られやすい。中でも特に女子、デスマッチはその傾向が強い。それはニュースサイトのコメント欄を見ても分かる。

　それにメディアが拍車をかけようとするなら、選手の側が止めなければいけないと山下は考えた。彼女はフリーランスの選手だが、それだけの気概を持って女子デスマッチというカテゴリーを守り、育てようとしているのだ。

勝利した山下りなは、今後もデスマッチをやっていくと決意を述べた

“無謀”とも言える2試合連続タイトルマッチ

　セミファイナルはタッグ王座戦。藤本つかさ&松本浩代が世羅りさ&雪妃真矢の挑戦を受けた。世羅と雪妃の名タッグ「アジュール・レボリューション（アジュレボ）」は久々の復活だ。そしてメインは藤本つかさvs.松本浩代のICE×∞選手権試合。つまり藤本と浩代は2試合連続でのタイトルマッチとなる。

　もともと藤本とフリーの大物である浩代のシングル王座戦が決まっていた中、7月の後楽園ホール大会で2人がタッグ王座を獲得。アジュレボの挑戦表明に、その舞台もビッグマッチでと指定した。先に言い出したのは浩代だが「私も同じこと思ってた」と藤本。

タッグ王座戦は藤本&浩代vs.世羅&雪妃

　昼夜興行でのダブルヘッダー出場は珍しくないし、トーナメントなどで1大会2試合することもある。ただ1大会中に2試合連続でタイトルマッチ、しかもタッグを組んだ相手と次の試合で闘うというのは無謀と言っていいくらいに難易度が高いのではないか。ダメージやスタミナだけでなくシングルとタッグの違い、試合の組み立て、協力しあった直後の対戦。あらゆる意味で“プロレス能力”が高くなければできないはずだ。そんな“無謀”に挑むのも、常識にとらわれないアイスリボンらしさなのかもしれない。

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