渡辺を支えた“もう一人の相棒”と奥原、福島からの言葉

　もう1人、忘れてならないのは渡辺が男子ダブルスで組む遠藤大由である。遠藤は早川賢一とともにリオに出場。大会後、早川が引退し、渡辺が頼んでペアとなった。その中で遠藤から学んだことも多い。そして2種目に挑む渡辺を、そして東野を応援し続ける存在でもあった。東京五輪の準決勝で渡辺と東野が敗れたあとには「切り替えて頑張れよ」と声をかけられた。

「3人で獲った銅メダルだと思います」と渡辺は感謝する。

　準決勝後に立て直すことができたのはそれだけではなかった。東野は語っている。

「悔しかったですし、ご飯を食べる気にもならなくて。でも、奥原（希望）さんや福島（由紀）さん、永原（和可那）さんが『一緒にご飯に行こう』と言ってくれたり、ずっと励ましてくれて」

　出会ったときの感覚を大切にし、真摯に2人が築いた10年は、コーチや選手、チームの皆にさまざまな形で支えられ、そして花を咲かせることができた。そのすべてが込められたのが、3位決定戦で勝利した瞬間の姿だった。

日本の混合ダブルスの“明るい未来”

　渡辺は言う。

「先輩方が作ってくれたレールをさらに伸ばすことができて、これからまだまだもう少し先のレールを僕らが作っていくつもりです」

　今年度から、日本代表の最上位カテゴリーであるA代表の混合ダブルスには、金子祐樹と、リオで高橋礼華とともに女子ダブルスで金メダルを獲得した松友美佐紀のペアが加わった。切磋琢磨しつつ、混合ダブルスの認知度を高めたいと考える渡辺と東野は、この先の道も開いていくだろう。