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なぜ張本勲は「偉そう」に「喝!」とか言うのか… 毎週“ムカムカしながら”見ている筆者がほめ殺す“5つの成績”とは <大打者がやることか?>
posted2021/08/22 06:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
「喝!」のおじさん、張本勲は、野球の裏も表も知るすごい選手だった。くやしいがあっぱれだ!
読者各位の中には、日曜の朝、四角い顔の血色のいいおじさんが発する「喝!」の声にむかむかしている人も多いのではないか。
そう張本勲。「なんであんなに偉そうなんだ!」と思いながらも、ついつい見てしまう。「炎上商法」という言葉が辞書に載れば、「張本勲を見よ」なんて書かれそうだ。
私も毎日曜日、むかむかしながら見ている。
しかし今どきの若い人がむかむかするのとは、ちょっと違う。
私はこのおじさんの現役時代を、この目で見ている。そして記録マニアとして、この人の記録を嫌というほどいじってきた。張本勲は同い年の王貞治とともに、アンタッチャブルと言ってよい記録を樹立した、野球史上の偉人なのだ。
そんな偉い人が、横丁のアクの強いご隠居みたいに、なぜ若い者に「喝!」とか言うのか!
若い読者各位よりも、私の「むかむか」の方が、さらに強い。つい朝のトーストを焦がしてしまうほどだ。
今回は、「喝!」のおじさんがどんなすごい選手だったかを紹介する。「よいしょ」では決してない、「ほめ殺し」をしようと思う次第だ。
その1:アンタッチャブルな通算安打記録
張本勲は、NPB史上唯一の3000本安打者である。NPBの安打数5傑はこの面々だ。
1位 張本勲 3085安打 打率.319
2位 野村克也 2901安打 打率.277
3位 王貞治 2786安打 打率.301
4位 門田博光 2566安打 打率.289
5位 衣笠祥雄 2543安打 打率.270
5位 福本豊 2543安打 打率.291
NPBでは2500本以上も7人しかいない(7位は金本知憲の2539安打)なかで、際立っている。しかも終身打率.319は、歴代3位。
張本は今の日本ハムの前身である東映に入り、1959年から1975年まで在籍、その後、巨人、ロッテと移籍した。
張本在籍時の東映は1963、1964年に150試合制だったことがあるが、キャリアの大部分は130試合前後。今より1割も少ない試合数で、3000本をクリアした。
私は巨人・坂本勇人に「張本超え」の期待をひそかに抱いているが、今のところ金田正一の400勝、王貞治の868本塁打とともにNPB史上のアンタッチャブル記録と言えるだろう。
ああ、むかむかする。