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「もし自分がオリンピックに出られていたら…」篠山竜青が“代表落選”をポジティブに語る理由…中村憲剛の助言が支えに
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/08/20 17:02
コートの内外で存在感を発揮してきた篠山竜青。東京五輪への出場は叶わなかったが、すでに次なる目標へと動き始めている
これからの時代は、一目で分かるような数字を残す選手が生き残るのだという意見があるのも分かる。
でも――。
「改めて、自分のことを見つめ直してみたんです。そうしたら、数字にならない部分で貢献できる部分を突き詰めたいという気持ちになって。なぜなら、数字に表れないところでチームに貢献する仕事なら、胸を張って、Bリーグの中で自分は一番だと言える部分なのかなと思うから。ものすごく曖昧で、『一言で表すなら、それは何?』とツッコまれそうですけど。例えば、シュートを何本も決めるわけでは無いけど、大事なところ、苦しいところでは自分でシュートを打って、入れると言う仕事も必要だろうし。
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だから数字に表われない仕事を極めたい。『チームにこういう人が1人いると違うね』と言われるような選手になりたい。そういう気持ちに今はなりました。それで、毎試合20分しか出ていないけど、ベテラン枠で、やはりそういう存在が必要だという感じで、代表にぽっと呼ばれればもう、なんか最高ですけどね」
「『落ちて良かったね!』と言ってもらえる未来を作りたい」
目には見えず、得点数やシュート数では測れないが、チームが上手く回るように糸を引く、そんな存在。それを指して、『篠山る』というような新たな動詞が生まれるくらいの圧倒的な存在感のある選手を目指そうと考えている。
そんな目標があるから、東京オリンピックが終わった今も燃え尽きた感じはない。Bリーグで最多の観客動員を記録する川崎ブレイブサンダースでの日常を大切に出来る。
「『東京オリンピックのメンバーから落ちてかわいそうだったね』となぐさめられるのではなくて、応援してくれる人たちに『あのとき、オリンピックメンバーから落ちて良かったね!』と心から言ってもらえるような未来を作りたい。それが今の目標です」
東京オリンピックのメンバーから落選した。その事実は、いつまでも変わらない。
でも、あの落選がどんな意味を持っていたのか。その意味は、これから変えていける。
変える権利を持っているのはこの世でただ一人、篠山だけなのだ。
(【前編を読む】“東京五輪に出られなかったキャプテン”篠山竜青33歳が味わった絶望と本音「チビはもっと頑張らないといけなかった」 へ)