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大谷翔平を変えた“花巻東高の寮生活”「何度も怒られました」「だから僕、高校でだいぶ変わったと思いますよ」
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph byNanae Suzuki
posted2021/08/11 17:01
最高峰の舞台・MLBで前人未踏の記録を更新し続ける大谷翔平。その原点に迫った
だから僕、高校でだいぶ変わったと思いますよ。中学校のときはけっこう適当にやってきたので(笑)、寮生活をした高校の環境は、やっぱりよかったと思います。ちゃんとやるようになりましたね。ちゃんと考えて、ちゃんとやるようになりました。何度も怒られましたよ。一度、すごく怒られました。寝坊です。あれは覚えてます。あのときはさすがに焦りました。練習から何日か外されて、雪かきさせられて……僕がチームで一番、練習しなきゃいけない人だったのに、監督がそうせざるを得ない状況を作っちゃいけないなと思いました」
「ホント、何がどう転ぶかというのはわかりませんよね」
大谷は佐々木監督から聞いた『先入観は可能を不可能にする』という言葉を心に刻んで、ここまでの日々を過ごしてきた。高校時代に受け止めたその言葉、今の大谷にはどう響いているのか、訊いてみた。
「そこは今も、まったくその通りじゃないですか、という感じです。僕がプロで二つやっていこうと決めたときも、いずれはこっちに来たいと思っていて、その日が来たら、たぶんピッチャーをやるんだろうなと考えていました。でも、それさえもそうじゃなかった。
自分がどうなるのか、どこまで行けるのかということは、自分でもわからないんです。予想以上にバッティングもよくなってくれたし、自分でもわからない可能性がいっぱいあったなと思います。だから、自分ではできそうもないなと思ったことを、やるかやらないか。全部が全部をやったらいいかというわけじゃないと思いますけど、やることを止めなくてもいいなとは思います。実際、去年のキャンプでは思うように打てなかったし、バッティングは無理じゃないかとも言われました。でも今は(マイク・)トラウトの後ろを打たせてもらっています。ホント、何がどう転ぶかというのはわかりませんよね」
大谷自身でさえ「メジャーではピッチャーをやるんだろう」と思っていた。しかし、バッターとしての可能性を捨てなかったことで、大谷はベーブ・ルース以来の二刀流の選手として、メジャーの舞台へ降り立った。