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大谷翔平を変えた“花巻東高の寮生活”「何度も怒られました」「だから僕、高校でだいぶ変わったと思いますよ」
posted2021/08/11 17:01
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
Nanae Suzuki
〈初出:2019年7月25日発売号「〈自律の3年間を語る〉大谷翔平 『楽しい』より『正しい』を」/肩書などはすべて当時〉
大谷を変えた高校の寮生活「何度も怒られましたよ」
18歳の大谷は日本一にはなれなかった。花巻東の3年間、大谷が教えられたと思っていることは何なのだろう。
「正しい方向を選ぼうとするようになりました。選ぶのと選ぼうとするのとでは違うと思いますけど、僕は選ぼうとします。教えられたことというなら、そこですかね。
今、毎日毎日、野球ばっかりやっていて楽しいんですけど、でも、ときにはやらなきゃいけないこともあるし……本当は練習したくないんです。そりゃ、それで打てるならそうですよ。毎日、(携帯)ゲームだけして、試合に行ったら打てるというなら、それでいいじゃないですか。それがおもしろいかもしれないし、それじゃ、おもしろくないかもしれない。そんなふうになったことないのでわからないし、僕はやらないと打てないので、練習、やりますけどね(笑)」
楽しい、より、正しい。
やりたくなくても、成長するためにはやらなければならないとき、自分から取り組めるかどうか。楽しいことより正しいことを考えて行動した結果、閃きがもたらされた経験を大谷は何度も味わってきた。だからこそ、何が正しいのかを考えて行動することの大切さを学んだのだ。楽しいことにある程度の制限をかけることを覚えたのは、高校の寮生活だったと、大谷は言った。
「高校で寮に入って、親以外の指導者にいろんなことを教えてもらったのが初めてだったので、そういう意味ですごくよかったと思います。同じこと言われるにしても、親に言われるのと違う人に言われるのとでは、まったく意味合いが違うんです。僕の場合は父親が子どものときの監督でしたから、親と監督が一緒でしたけど、それでも(佐々木)監督に言われると、親と同じことでも違って聞こえました。