「世界一になりたい！」小6から下宿生活…2年間無敗だった岡本碧優15歳が“メダル狙いではなくゴン攻め”した理由

「なんておとなしい子なんだろう」

　常に緊張している感じで、どこか心を閉ざしているようにも見える。筆者の岡本碧優の第一印象である。

　五輪では4位に終わったものの世界ランク1位らしく、他の選手とは次元の違う圧倒的高さのエアートリック。守りに入らず金メダルだけを狙いにいった“ゴン攻め”の姿勢は、私たちに感動を与えてくれた。

　そんなアスリートを前にして開口一番にこんなことを言うのは、あまりにもおこがましいというのは承知の上であえて書かせていただきたい。

「世界一になりたい！」小6で決断した“下宿生活”

　岡本が「世界一になりたい！」と親元を離れ、コーチでありスケートボード一家の笹岡家で下宿生活を送ると決断したのは小学6年生の時だった。

「ああ見えて実はビッグマウスなんですよ」

　そう岡本のことを語るのは彼女が下宿する笹岡家の父・賢治さんだ。

岡本碧優（左）が下宿する笹岡家の父・賢治さん（2019年11月撮影）　©Yoshio Yoshida

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「元々週1来るスクール生で、練習熱心で飲み込みが早かったんです。しかも跳びたい！跳びたい！という気持ちが強くて、跳ぶ事に対して怖さを知らない。スピードも緩めないからどんどん高くなるなと思いました。しかも（笹岡）拳道（岡本のコーチ）にもタメ口を利くくらいのヤンチャさがあったから、今とは全然違う感じでしたよ」

　想像もしない言葉が出てきて、正直驚いた。では、何が彼女を“おとなしそうな女の子”にしたのか？　そこには本人の想像を絶する過酷な下宿生活があった。

下宿の条件は「大技を4カ月で成功させること」

　下宿を決めた岡本に、笹岡さんはその決意の固さを確かめる意味合いも込めて「条件」を提示した。本気で世界のトップを獲るために必要なエアートリック「540」（空中へ勢いよく飛び出し1回転半する大技）のマスター。しかも、卒業までの約4カ月弱で成功させることを課したのだ。

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