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22歳山本由伸は何がスゴい?「ホームラン打ちたい」野球少年が“球道者”の顔をのぞかせた瞬間とは《侍ジャパン》
posted2021/07/29 11:04
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Masaki Fujioka/JMPA
今やオリックスだけでなく、侍ジャパンでもエースとなった山本由伸のヒーローインタビューはいつも完璧だ。
たとえば今季初勝利を完封で飾った4月1日のソフトバンク戦の試合後。
「先週負けていたので、とにかく早く投げたいと、しっかり練習しました。キャッチャーの(伏見)寅威さん、野手の皆さんに助けてもらってできた1勝だと思うので、もっともっと勝ち続けていきたいと思います」
いつも謙虚に、チームメイトに感謝し、時には相手選手へのリスペクトも口にする。
もちろんそれは山本の純粋な思いなのだが、この22歳はただの優等生ではない。相当な負けず嫌いで、遊び心にあふれている。
19歳宮城を尊敬するも「まだ負けない」
今年のオリックスでは高卒2年目の左腕・宮城大弥が、山本と並ぶリーグトップの9勝を挙げブレイクしたが、その宮城について聞かれた時のこと。
「2年目の19歳であれだけできるって、なかなかいないと思うので、本当に尊敬してます。リスペクト。素晴らしいです」
そう讃えたが、「負けていられないという思いもある?」と聞かれると、「まだ負けないでしょ」と負けん気が顔を出した。
防御率は山本が1.82、宮城が2.10でトップを争っているが、宮城には、「(防御率を)超されたらしゃべらない。無視する」と言い渡しているという。
時には先輩にちょっかいを出すことも。ある日の練習中、捕手の若月健矢がバント練習をしていると、通りかかった山本が、「若月さん、バントぐらいしっかり決めてくださいよー」と笑顔で茶化していった。その2日後にバッテリーを組んだ際、若月が2点本塁打を放ち援護すると、山本は驚いたような表情で両手を掲げた。
マウンドでの真剣な表情も、悔しがる姿もすべて含めて、グラウンドにいる山本はいつも楽しそうだ。