「“もう37歳”じゃなく“まだ37歳”」

　北海道から上京して、常にやりたいことをやってきた。短い期間だがヘアメイクの仕事をし、若くしてバーの経営者になり、プロレスラーとしてはチャンピオンベルトを巻いた。引退試合は後楽園ホールのメインイベントだ。そして今度はアイドル。

「思い描いた夢は全て叶えました。あとは売れるだけです（笑）」

「思い描いた夢は全て叶えました。あとは売れるだけです（笑）」

　プロレスラーになることにもアイドルをやってみることにも、大きな躊躇はなかった。曰く「いくつになってもプレイヤーでいたい人間なんですよ」。

　バーを経営しても、店を人任せにせずカウンターに立った。その分、人を育てるのが苦手だという自覚がある。プロレス時代は練習で後輩に教えるかわりに、若手興行をプロデュースして自分も出た。どんな世界にでも一歩踏み込んで挑戦してみる。そんな性格に“ご時世”もマッチしたのかもしれない。

「いい意味でも悪い意味でも“当たり前”がない時代ですもんね。アイドルだって、若い時にしかできないものだと思ってたらアラフォーでもできる。もちろん時間がたくさんあるとは思ってないです。でも“もう37歳”じゃなく“まだ37歳”だと思ってますね。それにのちのち、バーもパン屋さんもやらなきゃいけない。ライブハウス兼プロレス会場みたいな場所も作りたいし、お金持ちになったら若い女子プロレスラーのバックアップもしてあげたい。やりたいことがたくさんあるんですよ」

将来は「若い女子プロレスラーのバックアップもしてあげたい」と語った。自身の引退試合は後楽園大会のメインだ。

“夢”への門戸は開かれている

　2人の元プロレスラーが同時期にアイドルになったのは、きっと偶然ではない。17歳になったばかりの黒崎セラは「死ぬ時に“あれをやっておけばよかった、これができなかった”と後悔したくない。やりたいこと全部やったなと思って笑いたい」と言う。37歳の沙弥は「楽しいことばかりやって生きていく、楽しくないことを人生から排除していくって、意外とできるもんですよ」。

　アイドルもプロレスも、自分を表現する手段だ。アイドル→プロレスもプロレス→アイドルも、もちろん同時進行もあり。男だから女だからもないし年齢も関係ない。挑戦したい者、夢を叶えたい者への門戸は開かれている。極端なことを言えば誰にでもできる。限られたエリートの世界ではなくなったからこそ、これまでの時代とは違う意味での“夢”がある。

黒崎も「やりたいこと全部やったなと思って笑いたい」と語った。夢への門戸は開かれている（写真はレスラー時代）

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