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女子レスラーからアイドルへ…黒崎セラ(17)と沙弥(37)がステージ上で続ける“闘い”とは「形は違っても生き様を見せたい」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2021/07/29 11:01

女子レスラーからアイドルへ…黒崎セラ(17)と沙弥(37)がステージ上で続ける“闘い”とは「形は違っても生き様を見せたい」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

レスラー「YUMI」からアイドルへと華麗なる変身を遂げた黒崎セラ

「プロレスもライブも一緒だなって」

 プロレス時代の思い出を聞くと、真っ先に「遠征」と答えた。大阪、名古屋、それに福岡。選手みんなでのバス移動は「遠足みたいで楽しかった」そうだ。両国国技館のリングにも立っている。物怖じしない性格はレスラー経験あってのもの。もう一つ、プロレスで得た大切なものがある。ファンの存在だ。

 6月の初ライブには、プロレス時代のファンが何人も来てくれた。出番前はとにかく緊張したが、ステージに上がって照明がついた瞬間、知っている顔が見えて「ウルッときたし落ち着くことができました」。

 

 アイドルとしても、まず大事にしたいのは彼らだという。もうプロレスラーではなくなったが、プロレスあっての自分の人生だと再確認できた。プロレスをやっていなかったら、きっとアイドルにもなっていなかったと思っている。

「プロレスをやることで自信をつけることができた。だからアイドルもやってみようと思えたんです。それに自分が表現することを見てもらえること、それを実感できることが楽しいですね。そこはプロレスもライブも一緒だなって、やってみて思いました。

 形は違っても生き様を見せる、人生を見せるという点も同じ。プロレスはどれだけボコボコにされても立ち上がる、何度負けても這い上がるのが魅力だと思うんですけど、アイドルとしてもいろんな経験をしながら上を目指す姿を見てほしいです。まずワンマンライブをやりたいし、どんどん大きな会場でやりたい。今はいわゆる“地下アイドル”ですけど、いつかは日本武道館でって思ってます。

 あっ、アイドルフェスにも出たいですね。いつか(東京女子プロレスの先輩にあたる)『アップアップガールズ(プロレス)』さんと対バンできたらなって」

「アイドルなんて可愛いだけと思ってる人を黙らせたい(笑)」

 レスラー時代と違うのは「勝ち負け」に伴う緊張感だ。プロレスは毎週のように試合があって、いつも「次の試合は勝てるだろうか」とドキドキしていた。キャリアの差からすると負けて当然だった赤井とのデビュー戦も「赤井さんはリスペクトしていたけど、やっぱり負けると悔しくて。誰が相手でも負けず嫌いむき出しでしたね(笑)。絶対負けたくないという気持ちが試合のたびに続いて、楽しかったけどキツかった。新人なのに負けず嫌いすぎたんですかね。今は自然体でできてます。相手との闘いではなく自分との闘いだし、メンバーと一緒に闘っている感じなので」

 アイドルとしても「闘う」感覚は続いているわけだ。

「歌とダンスをとにかく頑張りたい。実力勝負がしたいです。特に歌はバチクソに決めたい。うまいのは絶対条件だと思ってます。実力あっての結果。そこもプロレスと同じですね。実力をつけて上に行く、その成長過程を見てほしいというのも。アイドルからプロレスラーになった人は“可愛いだけじゃないんだ”っていう気持ちだと思うんですよ。私は同じことをアイドルとして見せていきたい。アイドルなんて可愛いだけと思ってる人を黙らせたい(笑)」

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