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《日本人金メダル第1号》高藤直寿はいろんな意味で“破格”だった…井上康生日本代表監督が「新種」と評したワケ

posted2021/07/25 06:03

 
《日本人金メダル第1号》高藤直寿はいろんな意味で“破格”だった…井上康生日本代表監督が「新種」と評したワケ<Number Web> photograph by AFLO

東京五輪で日本人で最初の金メダルを獲得した高藤(写真は2018年撮影)

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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AFLO

7月24日、柔道60kg級で高藤直寿選手が今大会日本勢初となる金メダルを獲得しました。そこで高藤選手の人物像が分かる記事を再公開します。(初公開:Number Web 2018年8月15日)

 破格――。

 ふと、そんな言葉が思い起こされる柔道家がいる。柔道男子60kg級、高藤直寿(たかとう・なおひさ)。9月下旬に行なわれる世界選手権代表にも名を連ねている。

 そのキャリアは華々しいものだ。

 小中学生時代は全国大会を制し、高校時代は世界ジュニア選手権で優勝。大学2年生で世界選手権金メダルを獲得するなど、年代ごとに結果を残してきた。

 ただ、高藤の名を知らしめたのは、残してきた成績のみによるのではない。彼の柔道スタイルこそ、その存在を確固としたものとしている理由だ。

「変幻自在」「抜群の勝負勘」と評されたこともあるが、相手の出方に応じて瞬時に対応する能力に秀でている。さらにそればかりではない。

 相手と身体が密着したところから抱えながら回転させて投げる「高藤スペシャル」(大腰を変形させたようなもの)など、彼ならではの技を持つ。

昔だったら「なんじゃこりゃ」

 以前、日本男子代表の井上康生監督が高藤を表現した言葉は象徴的だ。

「新種ですね。何十年か前の柔道家が見たら『なんじゃこりゃ』と驚くと思います」

 オリジナルの柔道を築いた彼には、規格外である自負もあるのだろう。数々の強烈な言葉も放ってきた。

 2013年に世界選手権で優勝したあと、「オリンピックで4連覇したいです」と言い放つと、2015年のグランドスラム東京で優勝したあとはこうだ。

「ふつうにやれば、世界に負ける相手はいないということを証明できました」

【次ページ】 リオ五輪の銅メダルという試練

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