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スケボー初代金メダリストに 親友が明かす“堀米雄斗22歳の素顔”「富と名声も手にしても、常に謙遜している」
text by
吉田佳央Yoshio Yoshida
photograph byJIJI PRESS
posted2021/07/25 17:02
スケートボード男子ストリートで、初代王者に輝いたのは22歳の堀米雄斗選手だった
その道でトップを極めている人は、皆が必ずと言っていいほど陰ながら相当の努力を重ねているが、彼もまたその一人なのであろう。しかし彼の場合はそれだけに留まらず、私生活においてもしっかり自分というアイデンティティーを確立していると、幼馴染みは言う。
「彼は、スケートボードに向き合う気持ち以外の部分も本当にしっかりしているんです。一本筋が通っているというか、根っこが固まっているというか。もちろん遊ぶときはしっかり遊ぶんですけど、ここまでって決めたらそこできっちりと切り替えるし、これと決めたら絶対に曲げない意志の強さがある。自分はスケートボードって才能とか練習の量や度合い以外にも性格が出ると思っているんですけど、彼のそういった姿勢も強さの一因になっているんじゃないかと思います」
実はこの言葉には筆者も思い当たる節がある。
手や腕に包帯を巻きながら滑っている姿も
彼のことは10年以上仕事を通じて見てきているのだが、どのエピソードも今思うと当てはまるものばかりなのだ。
専門誌の専属カメラマンとしてコンテストに足を運んだ2011年のこと。プロクラス最年少ながらこの頃にはすでに彼のエアーの高さやオリジナリティ溢れるトリックは完成の域に達しており、注目を浴びる存在だった。ただ現在のようにストリートではなくバーチカル(スノーボードでいうハーフパイプを滑る競技で、五輪種目には採用されていない)の選手だったこともあり、現在の姿は想像もできなかったのが本音だ。しかもあろうことかそのコンテスト中に身体を強打し、救急車で運び出されてしまうという事態もこの目で確認している。
そんなあまりにも強烈なファーストインプレッションの後、彼は主戦場の種目を徐々に現在のストリートに移していくのだが、当初は国内でも全く勝てず、他と比べても特別な何かを感じる選手であるという印象はなかった。
ただ、その後も彼とはコンテストやスポンサーの撮影で顔を合わせる機会は多々あったのだが、手や腕に包帯を巻きながら滑っている姿を見ることが多かった。ギプスがとれて滑る姿を見る度に上達している様を見ると、裏では相当な努力を重ねているのだなと、否が応でも感じさせられた記憶がある。当時の彼は口下手だったこともあり、自ら積極的に語ることはなかったが、彼の姿や姿勢が雄弁に物語っていたのだと思う。