イタリアでの最終日、福澤は大塚、高橋を呼んで話をしたという。

「技術だけが高い選手は世界にごまんといる。そこから頭が抜きん出る選手というのは、間違いなく、覚悟であったり、自分のマインドや哲学というのを持っている。だからトップ・オブ・トップになるためには、技術に、プラスアルファの部分をどれだけ乗っけられるかが大事になる。そういう話をしました。

　僕はそれを、（パナソニックのチームメイトで、ポーランド代表主将の）クビアク（・ミハウ）と一緒にやっていてすごく感じた。クビアクがあの身長（192cm）でも、タレント揃いのポーランド代表の中に入れるのは、間違いなくそういう部分があるから。技術だけを見てトップかと言われたら、たぶんそうじゃないと思うんですよ。他にすごい選手はいっぱいいる。でも、その中で彼は違いを生み出せる。取り組み方であったり、プロフェッショナルな姿勢、そういうものが周りに与える影響が強いから、キャプテンにもなれる。日本では石川が、そういうところに一番近づいている存在だと思います。

　僕はスキルがなかった側の選手でしたけど、高橋や大塚は、スキルが非常に高いので、そういう選手になれるチャンスがあるから、そういう話を最後にしました。もうなかなか会う機会がなくなると思うので。これから日本を担う彼らに、置き土産じゃないですけど（笑）。少しでもプラスになってくれれば」

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　若い2人に、メンバーから外れた選手の分も背負って、とは言いたくない。

　それでもやはり、五輪から遠ざかった勝てない時代も、もがきながら日本を支えた福澤や、主将としてチームを引っ張ってきた柳田の、“日本を強くするんだ”という魂だけは引き継いで、五輪のコートに立ってほしいと願う。