選手の代表入りは、それまで関わってきた指導者の熱意と工夫の賜物でもある。それは大塚にも言えることだ。

　日本代表の中垣内祐一監督は、大塚をこう評する。

「器用な選手。非常に弱点の少ないオールラウンダー」

　ネーションズリーグではオポジットにも入った。攻撃も守備もつなぎも、高いレベルでこなせる要因の一つは、小・中学時代の育成にある。大塚は、パナソニックのジュニアチーム「パンサーズジュニア」に所属していた。当時、監督を務めていた春田政幸氏（現・大阪国際大学監督）は、こう振り返る。

「最終的には固定するんだけども、エースだけじゃなく、いろんなところを経験させました。ツーセッターもやらせていました。打つ方から見る目線と、トスを上げる方からの目線を、兼ね備えることができますから。（セッターの）気持ちの部分も見えてくるだろうし、視野が広がりますからね」

　春田氏は、大塚の五輪メンバー入りを喜びながらも、さらなる高みを求める。

「何でもそつなくこなすけど、言い方を替えれば、すべてが平均点。まだ“これ”という飛び抜けたところがない。大塚にしかできないこと。そういうものがもう少し目立ってくると、チームからの信頼度も上がってくると思うんですよ」

　それはまさに大塚自身が語っていた課題だったが、そこはこれからの伸びしろでもある。

「文武両道の福澤さんは憧れ」

洛南高校時代、春高バレーを制した大塚達宣　©︎YUTAKA/AFLO SPORT

　大塚は、洛南高の先輩・福澤を目標にしてきた。

「文武両道という部分でも福澤さんは憧れで、自分もそれを目指して頑張ってきたし、ついていきたいと思う選手」と語っていた。

　だがネーションズリーグの大会中に発表された東京五輪メンバーの12名から、福澤は外れ、イタリアから帰国後、現役引退を発表した。

　福澤は、京都という縁でつながる若手2人について、こう語った。

「純粋に嬉しいですね。洛南出身の子と、京都出身の子が揃って、これからの日本を背負っていく存在になるんですから。楽しみしかないです。これから、見守っていく側としては。自分たちが大学生の頃とは比じゃないぐらい完成している。スキルが高くて、純粋にすごいなと思います」

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