なぜ誰も笑い飯のスタイルを真似できないのか？

――今も昔も、笑い飯の漫才は、やはり唯一無二なんだなと思いました。2002年、お2人が初めてM-1決勝に出場されてからというもの、笑い飯のスタイルを真似しようとする若手がたくさん出てきたと言います。でも、真似できるわけがないんですよね。お2人は磁石で言えば、S極同士、N極同士のようなもの。本来、くっつくはずのないコンビだったのだと思います。なので、ある意味、こいつとは絶対、うまくいくはずがないと思える相方を選ばないと「笑い飯」にはなれない。

哲夫　どちらもエゴ優先で、絶対、譲らないですからね。

西田　哲夫がA案を出して、僕がB案を出したとするじゃないですか。ともに相手の案に納得がいかない場合、どちらか1人が相手の案に寄るということはまずない。どちらでもないC案になります。

哲夫　だから人とネタが被らない。僕らは2人ともにボケやすいネタを選ばなければならない。それだけで、使えそうなネタに出会う確率がグンと減りますから。

――生産効率、悪そうですね……。A案とB案がもったいない。

哲夫　組んで間もない頃、いっぺんだけオーディションで僕が完全なツッコミ役を務めたことがあるんです。でも、15秒ぐらいで落ちて、こらあかんわ、と。それからはとにかくインパクトを残そうという方向に走り始めて、気づいたら、両方ともボケて、両方ともツッコむ形になっていた。

――巷では、笑い飯のスタイルは「ダブルボケ」と呼ばれていますが、正確に言うならば「ダブルボケ、ダブルツッコミ」なんですよね。だから、お2人とも、ボケしかできないわけではない。でも、芸人の性として、やはりボケで笑いを取りたいものなのですか。

哲夫　ウケて気持ちよくなりたいだけなんですけどね。だから、ボケたい。でも、ツッコんでウケるのも気持ちいい。笑うてもうてることが、とにかく気持ちいいだけなんですよ。

(【続きを読む】「紳助さんが冷水をぶっかけるんです」笑い飯がいま明かす初期M-1の“殺気”…スリムクラブには「お前らの勝ちや」　へ)

※『笑い飯の漫才天国　〜結成20＋1周年記念ツアー〜』の情報はこちら（https://waraimeshi-tour.com）から

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