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「ダウンタウンさんや千鳥みたいには至ってない」M-1王者から11年・笑い飯に聞く、“天下を獲る”野望の達成度
posted2021/07/16 11:03
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Shigeki Yamamoto
――M-1で戦っていた頃のお2人は、いつも怒っていたし、もっと挑発的でした。そこへいくと、今は、だいぶ穏やかになられた印象があります。
西田 やっぱり世の中に認知されるまでがいちばん熱かったですよね。自分たちの存在を、このネタのおもしろさを、みんなに知らしめたいというような。
哲夫 2002年に初めてM-1の決勝に出させてもろたとき、打ち上げで、プロデューサーに文句を言うてましたからね。最終決戦で、めっちゃウケてましたやん、って。なのに、なんで1票も入ってないんですか、って。プロデューサーに言うてもしゃあないのに。でも、もうそのことは言わんようにしてます。2010年、スリムクラブの方がウケてたのに、僕らが勝っちゃいましたから。
「そんなことせんでエエ」千鳥ノブを怒った話
――千鳥のノブさんが、若い頃、ファンの女の子とプリクラを撮って、西田さんにめちゃくちゃ怒られたことがあると話していました。居酒屋で蹴られた、と。
西田 その頃のライブはファン投票で順位が決まっていたので、そうやって、票をもらおうとするやつがいっぱいおったんです。ノブはそういう意図ではなかったと思うのですが、そんなことして投票してもらったら、それをやり続けなきゃならんやないですか。過剰にファンを気にするやつらは、おもろないやつが多かったです。千鳥はおもろいんやから、そんなことせんでエエと言ったんですよ。今にして思えば、僕らも相当、尖ってましたね。カッコつけてたなと思います。
――そういう心の変化が、漫才の熱量にも影響しそうですが、それは感じませんよね。むしろ、今の方が熱いような、まぶしいような気さえします。
哲夫 当時は、時代的にも、ちょっと悪い兄ちゃんの方がおもしろいというような雰囲気もあって、戦術的にそう振る舞っていたところはあると思います。
笑い飯は結婚で変わった?「家族の顔が過ぎる」
――西田さんは2013年に、哲夫さんは2016年に、それぞれ結婚をされました。お2人ともお子様にも恵まれました。そのことによる変化もありましたか。