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シャビも「史上最高」と絶賛…ブスケッツの“スゴい中盤のヘソ”ぶり 過小評価されがちも仲間内では信頼と称賛の嵐
posted2021/07/06 17:03
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
セルヒオ・ブスケッツほど正当に評価されていない選手も珍しい。
バルセロナでもスペイン代表でも無数のタイトル獲得に大きく貢献してきたというのに、バロンドール賞の最終候補に選ばれたことは一度もない。
EURO直前、新型コロナウイルス感染が報じられた際、『AS』紙のウェブアンケートでは回答した約2万6000人の77%が「代替選手を招集すべき」を選んでいた。
大会に間に合わない恐れが頭をよぎった人もいただろうが、大半は「彼でなくてもいい」と考えたのだと思う。
しかし、代表を率いるルイス・エンリケ監督は違った。「回復を待ちたいか?」と記者会見で問われると、毅然と答えた。
「待ちたいのではない。待つのだ。最終的な選手リストに必ず入れる」
果たして、チーム離脱から12日後にブスケッツは戻ってきた。そしてグループステージ突破をかけたスロバキア戦に先発出場した。
迷いのない舵取りで臆病なパスは消えた
スペインは別物になった。
彼の迷いのない舵取りにより、ボールを失うことを恐れる臆病なパス廻しは消え、攻撃を展開するためのパスがテンポよくつながるようになった。
ボールが相手に渡っても無暗に下がらないポジショニングが周りに作用し、敵陣内での組織的なプレスが活性化した。
そこから先が、また重要だ。
せっかく高い位置でボールを奪い返しても次のプレーが遅く、あるいは間違っていたら台なしだけれど、彼に預けるとワンタッチあるいはツータッチで的確なパスが出る。再び始まる攻撃の初手が、より効果的になる。
結果は5-0でスペインの大勝。試合後、ルイス・エンリケはブスケッツを称えた。