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「これは戦いだ」NBAファイナルは予想を覆す“サンズvsバックス” チーム創設が同年、優勝経験者はゼロ…重なるいくつもの因縁とは?
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2021/07/06 17:02
ともに今年で36歳、幼い頃からの友人だというサンズのクリス・ポールとバックスのPJ・タッカー。NBAファイナルの舞台で笑うのはどちらか
そして、両チームに共通しているのは優勝から縁遠いチームだったことだ。バックスは1971年に初優勝を果たしているが、それが最初で最後。サンズは最近では1993年にNBAファイナルに進出しているが、まだ一度も優勝していない。
今シーズンですら、プレイオフが始まったときに両チームがNBAファイナルに進出すると予想していたのは少数派だ。
何しろ両チームの選手のなかで優勝経験がある選手は1人もいず、唯一ジェイ・クラウダー(サンズ)が昨季、ヒート所属時にNBAファイナルに出たことがあるだけなのだ。サンズはプレイオフ出場自体が11年ぶり。ブッカーやデアンドレ・エイトンら、サンズの若手にとってはプレイオフも今回が初体験だ。そういった新鮮さが、今回のNBAファイナルの最大の魅力だ。
苦難を乗り越えてきたサンズとバックス
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両チームにとって、ファイナルへの道は決して楽ではなかった。シリーズのなかで不利な状態から立て直し、たとえ主力選手が欠場することになっても諦めずに、ほかの選手が活躍して勝利をつかんでいる。
サンズはポールが新型コロナウイルス感染のためにウェスタン・カンファレンス・ファイナルの最初の2試合を欠場したが、ブッカー、エイトンらの活躍で連勝。
バックスも、イースタン・カンファレンス・ファイナルの最後の2試合を、膝を負傷したエースのヤニス・アデトクンボ抜きで戦う窮地に追い込まれたが、クリス・ミドルトンやブルック・ロペスなどの活躍で連勝。シリーズ序盤でアデトクンボが出場できるかどうかは不透明だが、エース抜きで勝った経験があるのは大きい。
どちらのチームにとっても、激しいプレイオフの争いを乗り越えてきたことが、自信を支えている。