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大谷翔平がいなければもう勝てない? “リアル二刀流起用”で見えてくる、エンゼルスの「苦しすぎるチーム事情」 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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posted2021/06/28 17:05

大谷翔平がいなければもう勝てない? “リアル二刀流起用”で見えてくる、エンゼルスの「苦しすぎるチーム事情」<Number Web> photograph by Getty Images

6月23日のジャイアンツ戦では6回9奪三振と1失点と力投するも4勝目はお預けに

「今日はショウヘイに頑張ってもらおう。最大の脅威は、彼に問題が発生した場合、早い段階で試合から退かなければならないことだ。投手の代打に打撃の良い投手を送ることもあるかもしれない。幸いにもここ数試合、ショウヘイは深いイニングを投げている。この事実は助けになる」

 なぜ、監督は自らが定めていた掟を破り、リスクを冒してまで、大谷の投打同時出場に拘ったのか。その理由を求められるとこう答えた。

「私に『当たり前のこと』というものはない。当たり前とは何か。何が正しいのかはわからない。私たちは勝利のために最善の道筋を立てる」

 控え野手が2人であっても、投打において、大谷の力無くして、勝機は見いだせない。これが監督が下した決断だった。

気持ちで投げた「3年ぶりの100球超え」

 14年以来7年ぶりのポストシーズン進出を真面目に考えているエンゼルスにとって、前日から始まったジャイアンツ、その後に控えるレイズ、ヤンキースとの9試合は前半戦最大の山場だ。

 ジャイアンツはナ・リーグ最高勝率で西地区首位を走り、レイズとヤンキースはア・リーグ東地区を争う上位チーム。この試合の始まる前の時点で36勝37敗。地区首位のアストロズから既に9ゲームも離されている状況で、この9試合を大きく負け越すことは、1カ月後に控えるトレードデッドラインでの『チーム解体』に繋がる。エンゼルスにとっては踏みとどまらなければいけない試合だった。だから、控え野手が2人しかいないリスクは承知の上。背に腹はかえられないと指揮官は大博打に打ってでた。だが、結果は無情にも裏目に出た。

 その中で、チーム事情を痛いほどに知る大谷翔平の投球には、心を打たれるものがあった。

 今季初となる2戦連続中5日のマウンドは、前回ナイター後のデーゲームで実質は中4.5日。しかも気温は27度。蒸し暑いデーゲームだった。

「ちょっと体が動きづらいなと感じていました」

 前半は直球が平均93マイル(約150キロ)と走らず、スプリットも落ちが悪く空振りを奪えない。その状況下、懸命に第3、4の球種であるスライダー、カットを多投し、無失点で試合を作る。

【次ページ】 大谷に語る“投打同時出場”「必要とされている」

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