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松島のスピード、姫野のトライ…誰も日本を軽視しなかった 現地メディアが“4カ国スター軍団”ライオンズに「合格点」を出した理由
posted2021/06/28 11:03
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph by
Getty Images
スコットランド・エディンバラは分厚い灰色の雲に覆われ、6月下旬だというのに気温は13度。雨天下での徹底した力比べの泥試合とならなかったのは日本代表にとっては幸いだったが、それでもやはり4カ国オールスターチームの壁は厚かった。
同国最大のスタジアムであるマレーフィールドにジャパンを迎えたブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズは前半から激しく規律のあるディフェンス、安定したセットプレーでペースを握り、28-10で日本代表を退けた。
ライオンズは、試合開始早々に主将のアラン=ウィン・ジョーンズ(LO・ウェールズ)が日本代表LOジェームス・ムーアと接触するアクシデントに見舞われた。顔を歪めながら肩を押さえてピッチを後にする35歳の仕事人の離脱は、チームにとって緊張感をもたらしたかもしれない。
リーダーを失ったライオンズは、早速ジャパンに牙をむく。
12分、キープレイヤーの1人だったジョシュ・アダムス(WTB・ウェールズ)が、日本代表初キャップのWTBシオサイア・フィフィタのをかわして強引に右隅にトライ。18分には南アフリカ出身での大型ランナー、ドゥハン・ファンデルメルヴァ(WTB・スコットランド)が、日本ゴール前のラックからディフェンスのいないブラインドサイドを突いてスコアを重ねた。
あっという間に14-0。
日本代表も要所で個々のディフェンスが光り、時折“カチ上げる”激しいディフェンスも見せたが、ライオンズは一瞬の綻びを見逃さない。
ヘンショウの“ストライク・ラン”
23分にはロビー・ヘンショウ(CTB・アイルランド)が日本ゴール前のラックからわずかなディフェンスのギャップに走り込んだ。同国代表の伝説的英雄として133キャップを積み重ねたブライアン・オドリスコルを彷彿とさせる、相手ディフェンスの一瞬のスキを突く走りが売りのヘンショウ。深めのポジションからスピードに乗って相手のディフェンスを切り裂く走りは“ストライク・ラン”とばれ、このトライは正にそのお手本となるような走りだった。
この日、マン・オブ・ザ・マッチの座に輝いたダン・ビガー(SO・ウェールズ)は試合後のインタビューで、「日本代表がどういう戦い方で来るかは、よく分かっていた」とコメント。日本代表の外を警戒したディフェンスシステムをとったライオンズは、前半を無失点で折り返した。