プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
赤いベルトを極めた女・岩谷麻優の10年以上遅れた“結婚引退プラン” 「プロレスは天職。生きている感じがする」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2021/06/30 11:02
「シングルマッチが好きなんです」と語る岩谷麻優は、白いベルトと赤いベルトをふたたび狙っている
「またいつかドラゴンを解禁したい」
岩谷はドラゴン・スープレックスを使い、さらには組んだ手を持ち替える二段式ドラゴンまで使うようになった。二段式は2015年、初めてのシンデレラ・トーナメントの決勝で使った。
「それまでは普通のドラゴンを使っていました。でも、この“ドラゴン”に変化を加えたい、と思ったんです。これ行けるんじゃないか。実際に出したらすごい角度で落ちる。絶対に勝ちたい時、ドラゴンを返された時、返されたくない時、二段式を繰り出すんです」
でも、最近はノーマルなドラゴン・スープレックスも出していない。
「フィニッシュはムーンサルト系になっているので、またいつかドラゴンを解禁したいです」
「大江戸隊とは昔からバチバチしていたんです」
昨年の3月、無観客の後楽園ホール。35段も階段を転げ落ちる岩谷を見た。
大丈夫か、と心配になった。
「STARSと大江戸隊って昔からユニット抗争が激しくて常にバチバチしていたんです。最初に階段から落とされた時は、(相手が)花月で、短い方の10段くらいだったかな」
その約3倍以上の長さと高さがある階段を上から下までを岩谷は後ろ向きで転げ落ちた。背中や首が階段の角に当たるのでかなり痛いはずだ。肌が白いので余計に目立つのだろうが、体にはアザが痛々しく残った。
「蒲田行進曲」で有名な階段落ち。映画は見たことないけれど、ファンがその日の動画に、音楽をつけてネタ動画のようにTwitterにあげたのを見た。
最近は刀羅に鉄パイプで背中を殴られている。
「刀羅ナツコは口が達者ですよね。でも今は実力が加わったから手が付けられない。人のユニットは褒めたくないですけれど、存在感を増している気がします」
プランを修正した30歳まであと1年8カ月、岩谷の「過去の自分超え」が静かに始まろうとしている。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。