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体操・白井健三は最後に笑顔で手を振った 24歳で引退の“ひねり王子”がガッツポーズで競技を終えるまで
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO SPORT
posted2021/06/20 17:01
6月16日、白井健三が引退会見を行った。内村航平とともに日本体操界を牽引してきた24歳の競技人生はどんなものだったのか
「やりたかった演技をできた。満足している」
17歳での世界デビュー時から世界中に注目され続けてきた。大会前の公式練習では白井がゆかで練習を始めると各国のコーチ陣、選手たちが12m四方のゆかをずらっと囲み、スマホやタブレットで撮影した。それは18年ドーハ世界選手権まで続いた。
最後となった全日本種目別選手権のゆかの演技では、最後の4回ひねりが3回半になってしまったが、Dスコア6.9点、Eスコア8.233点、合計15.133点。2位で表彰台に上がった。
「やりたかった演技をできた。満足している」
試合直後にそう話していたように、演技後の表情には一点の曇りもなかった。ガッツポーズをし、会場にもテレビカメラにも笑顔で手を振った。
「最近笑っていないなと思っていたんです。だから、最後にガッツポーズをして、手を振ることのできるような演技をしたいという思いがあった。ゆかでそれができたので、今までお世話になった方々への感謝も込めて手を振りました」
何よりの白井らしさだった。
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