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【RIZIN】「芸人の仕事はゼロ」でも「強ければ話が来た」異色の格闘家、ベイノアは“圧倒的不利予想”を覆せるか
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2021/06/12 17:01
昨年10月、横浜で行われたRISEに出場したベイノア。お笑い芸人と格闘家という二つの顔を持つ
「いまのMMAの中で空手がどれだけ通用するか」
MMAにはキックボクシングの主武器であるパンチとキックがあるが、キックボクシングのそれには寝技はない。
極真の空手家がMMAに挑戦するのはベイノアが初めてではない。旧K-1でも活躍したヘビー級のエベルトン・テイシェイラ(ブラジル)はのちにMMAに転向し、3勝1敗というレコードを残す。ベイノアはテイシェイラに「僕と同じドレッドヘア」と親近感を抱く。
「やっぱり昔のMMAはプロレスラーや柔道家が挑戦することで成り立っていた。いまは競技化されてきたけど、本来のMMAはそういうものだったと思う。もちろんいろいろなシチュエーションを想定したうえで準備しています。いまのMMAの中で空手がどれだけ通用するかを試したい」
弥益戦が決まってからベイノアはMMAを闘ううえでは必修科目といえるブラジリアン柔術の練習を始めた。
「空手衣に比べると、柔術衣は分厚い」
正直、付け焼き刃の感は拭えないが、ベイノアは中3まで空手とともに励んでいた柔道(初段)がここにきて役立っていると付け加えた。「やっていて良かったと思います。柔術を教えてくれる方にも組みや寝技になったときの吸収が早いといわれています。空手やキックで立ちの組みの展開になっても崩されにくいのは柔道をやっていたせいかもしれない」
「同じ中学校出身の石橋貴明さんに続きたい」
RISEでは反則と見なされるヒジ打ちもMMAでは有効であることもベイノアにとっては大きな強みか。
「立っても寝てもえんぴ(空手用語。ヒジ打ちを指す)をやっています。板も割っていますよ」
成増が生んだ著名人といえば、とんねるずの石橋貴明が思い浮かぶ。ベイノアは「同じ赤塚第二中の出身の石橋さんに続きたい」と目を輝かせた。
「こんなチャンスはめったにない。この挑戦を乗り切らないと、何も生まれない」