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錦織圭「またコイツに負けたっていうのはちょっと…」24歳ズベレフが“2年ぶりベスト8”を阻止できた3つの理由
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byHiromasa Mano
posted2021/06/07 17:04
錦織圭はアレクサンダー・ズベレフに完敗。完全復活を期して臨んだ全仏は4回戦止まりだった
形勢が傾き、体力的にも厳しくなってきた第2、第3セットは考慮せず、第1セットの数字のみ拾う。錦織のファーストサーブ時のポイント獲得率は35%にとどまり、ズベレフの78%に遠く及ばない。「0~3本」のラリーでの得点を見ると、33ポイントのうち錦織の得点が13、ズベレフが20と大差がついた。4-6とブレークひとつの差で決着したセットにしては、数字の開きが大きい。
サーブ力に加え、サーブの次に打つ「3本目」の精度、攻撃力でこれらの数字に差がついたと見るべきだ。その背景にあったのが、前述したズベレフの早い仕掛けと、錦織の先に仕掛けなくてはやられるという焦り、さらに相手からの守備のプレッシャーではないか。
復調に一歩前進も……
完成された選手、と錦織は早くからズベレフの実力を認めていた。しかし、1カ月の間に喫した3連敗はやすやすと受け入れられるものではないだろう。
「またコイツに負けたっていうのはちょっと引っかかる」
軽い口調に、並々ならぬ悔しさが顔をのぞかせた。復調に一歩前進したものの、ほろ苦い4回戦敗退だった。