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福永祐一のダービー制覇は「最悪の枠」から始まった かすれた声で語った19度目の挑戦「香港もドバイも勝ってきて、一番特別でした」

posted2021/05/31 19:00

 
福永祐一のダービー制覇は「最悪の枠」から始まった かすれた声で語った19度目の挑戦「香港もドバイも勝ってきて、一番特別でした」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

福永祐一のダービー制覇は多くの人にとって「やっと」だった。本人はどう感じているのだろうか

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph by

Kiichi Matsumoto

5月30日に開催された第88回日本ダービーは福永祐一が手綱をとる4番人気のシャフリヤールが優勝を飾りました。福永は昨年のコントレイルに続くダービー連覇となりましたが、彼がダービーを勝つまでには長い道のりがありました。18年、19回目の挑戦でワグネリアンとともに平成最後のダービーを勝った時、福永が何を語ったのかを振り返る当時の記事を再公開します。
(初出:NumberWeb 2018年5月28日/肩書等全て当時)

 19度目の挑戦にして、ついに福永祐一がダービージョッキーになった。

 検量室前で出迎えた友道康夫調教師は、ハンカチで目元を拭った。これが馬主として史上最多のダービー4勝目となり、淡々とした受け答えで知られる金子真人オーナーの目にも涙があった。

 他馬の関係者やマスコミ関係者も拍手を贈った。「競馬の祭典」と言われる日本ダービーならではの光景だ。

「ふわふわして、地に足がついていない感じがします。これまでもGIを勝たせてもらっていますが、こんな気持ちになったのは初めてです」

 涙は乾いていたが、珍しく、声がかすれていた。そのくらい、福永にとって特別な勝利だった。

「平成最後のダービー」となった第85回日本ダービー(5月27日、東京芝2400m、3歳GI)を、福永祐一が騎乗した5番人気のワグネリアン(牡、父ディープインパクト、栗東・友道康夫厩舎)が優勝。1番人気に支持されながら7着に敗れた皐月賞の雪辱を果たした。

福永祐一が引いたのは「最悪の枠」

 半馬身差の2着は皐月賞馬エポカドーロ、3着は16番人気の伏兵コズミックフォース。ともに無敗で臨んだ1番人気のダノンプレミアムと2番人気のブラストワンピースは、それぞれ6、5着に敗れた。

 本番3日前の木曜日に枠順が発表され、ワグネリアンは8枠17番という外枠だった。

 友道調教師は「目の前が真っ暗になった」と言い、福永は「ぼくの代わりに友道先生が全部言ってくれた。おかげで気が楽になりました」と笑顔を見せた。ダービーでは内枠の馬が好結果を出す傾向があるのだが、福永は「最悪の枠」を引いたことで、かえって腹を括ることができたという。

「いろいろな選択肢があったのですが、それがかなり狭くなった。この乗り方でなければいけない、と。それを一番いい形にハメ込むことができました」

【次ページ】 「ほかの馬を見ないように、見ると負けると思って(笑)」

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