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箱根駅伝の“中間テスト”「優勝候補は?」「どこが好調なの?」 1位は駒澤、2位は青学、では3位は……?
posted2021/06/02 11:02
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Yuki Suenaga
関東学生対校選手権、通称・関東インカレは、箱根駅伝と並ぶ非常に重要な大会である。
冬のロードシーズンを終え、春からのトラックシーズンに向けて練習を積み重ねてきた選手がタイムと勝負の二兎を追う。ここでの結果が、秋の駅伝シーズンでの活躍に繋がっていくのだ。
今年も男子1部、2部に駅伝の強豪校が参加しているが、トラックシーズンの“中間テスト”ともいえる関東インカレで結果を出し、順調に強化を進め、さらに強みを増しているような大学はあったのだろうか(好調トップ3編/不調だった大学編・ダークホース候補編に続く)。
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1位・駒大)“駅伝未経験の2年生”が「エース鈴木」を撃破
箱根駅伝覇者・駒澤大学は、格段に強さを増していた。
昨季の全日本大学駅伝では、最終区で逆転優勝。さらに箱根駅伝でも10区で奇跡の逆転優勝を果たし、まさに「逆転の駒澤」として強さを見せた。今季は、その経験をベースに戦力をさらに上積みしていくことになるが、各学年の選手の成長が著しい。
関東インカレ前の日本選手権10000mでは、田澤廉(3年)が2位、鈴木芽吹(2年)が3位でフィニッシュし、実業団の選手を相手に堂々としたレースを見せた。タイムも田澤が27分39秒21、鈴木が27分41秒68。それぞれ日本人学生歴代2、3位に入る好記録で、ダブルエース誕生に駒大は沸き立った。
なかでも、関東インカレでずば抜けた成長を見せたのが、唐澤拓海(2年)だ。
大会初日での10000mでは藤木宏太(国学大)、近藤幸太郎(青学大)、鈴木聖人(明大)といった強敵に勝ち、留学生2人につづいて3位。5000mでは同期の鈴木にラストで競り勝ち、13分53秒11で3位。長距離2種目で日本人トップという見事な走りっぷりを見せた。5000mのレース後は、「芽吹が僕らの代のトップ選手。勝って、少しだけ自信になりました」と控えめに語っていたが、唐澤はなんと駅伝未経験者。こんなにすごい選手が……という驚きしかない。
鈴木が「負けたのは悔しいですが、唐澤が強くなったのは仲間としては心強い。2年生は、かなりレベルが高くなってきました」と語るように、2年生は10000mで27分台を持つ鈴木に加え、28分台が唐澤、白鳥哲汰、花尾恭輔らを含めて6名となり、まさに「黄金世代」になりつつある。
主力の退部・逮捕…それでも総合力は「大学ナンバー1」
スピードと強さを持つ彼らが駒大の軸になっていくのは間違いなく、上級生、下級生に大きな刺激を与えている。鈴木は、「チームが新しく変わってから当たり前の基準が上がったなと思います。Bチームでも以前のAチームのレベルで練習している。本当にレベルが高くて自分もポイント練習で余裕がなくなってきています」と全体のレベルが相当高くなっているのを強く感じている。