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河原純一のようなキレイ系右腕&周東佑京クラスの韋駄天…首都大2部でひっそりとプレーする2人のスター候補とは?【2021年ドラフト隠し玉】
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2021/05/27 17:02
スカウトたちの評価が高かった明星大・権田琉成。入替戦の切符を手に、首都大リーグ1部昇格を誓った
「彼のポテンシャルを考えたらまだ不満。もっとやれる。大人の体格になっていったら、あと4キロか5キロは速くなるでしょう。肘の使い方が柔らかいし投球のコツを知っている投手です」
権田もまた「今はまだ全然ですけど、誰もが知ってるような投手になりたいです」と落ち着いた口調ながら野望を秘めている。
まずは29、30日の入替戦で「1部の打者にどれだけ力が通用するのか楽しみですし、みんなと1部に上がりたいです」と意気込んでいる。
夏伐京平の脚は周東以上?
この入替戦で、もう1人の注目選手に挙げたいのが前述した“学生球界屈指の韋駄天”夏伐京平だ。
徳島県が由来で今は北海道に多い、と本人が説明する「夏伐(なつぎり)」という姓以上に、国士舘高校時代からその俊足ぶりで強いインパクトを残してきた選手だ。大学野球でも夏伐のスピードは健在だ。
この日は俊足の見せ場は少なかったが、四球で出塁した際には、警戒される中で二盗を難なく成功させた。一塁到達は3秒6台を計測したこともあるそうで、この数字は侍ジャパンでも活躍する周東佑京(ソフトバンク)と比べても遜色がない。
もともとの素質に加え、中学時代に独学で走り方を研究。「1歩目2歩目の体勢は野球にも生きる」と多田修平ら陸上選手の動画を見て走力を養った。俊足について「五十幡(亮汰/日本ハム)にも負けないと思いますよ」と吉田監督が言えば、身体能力については「巨人の松原以上。重心の低い体勢で速く動けます」と浜井氏も高く評価する。
欲を強く持ち、より積極性が走攻守に表れてくれば、その風を切り裂くようなスピードは大きな武器になっていくだろう。
今はまだファンも関係者も少ない2部リーグでひっそりとプレーしている2人だが、いつの日か大観衆のスタンドを沸かせるような一挙手一投足を見せてもおかしくない。
まずは少しでも陽の当たる場所に向かうため、入替戦で愚直に勝利を目指す。