濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
中村倫也と宇佐美正パトリックがLDH“所属”に…白濱亜嵐も「誇らしいよ」と語る格闘技への“ガチ度”とは?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byAbemaTV.inc/荒金大介
posted2021/05/24 11:00
LDHの新たな“所属メンバー”となった宇佐美正パトリック
EXILE HIRO「昔は格闘技が大好きだったので」
番組の“ガチ”度について、最終審査の試合を見守ったEXILE HIROは取材陣にこう語っている。
「みんなのそのままの姿を映し出すことで、それがストーリーになると確信していました。自分はあまり出しゃばらず、まず取り組むのは高谷監督、岡見コーチをサポートすること。悩むことなく、あのリアルなスタイルになりました。自分も、最近はそこまで詳しくないですけど昔は格闘技が大好きだったので。ファンの気持ちになるとガチな部分にいってみたいんです」
あえて「最近はそこまで詳しくない」と前置きするあたりにも“分かってる感”がある。コアなファンは、格闘技(プロレス)好きとしてメディアに登場する有名人に対してある種の警戒心があるのだ。ちょっとした言動から本当に詳しいかどうかを厳しくジャッジする。そんなファン心理を踏まえての「最近はそこまで」なのだ。
LDHはドラマ/映画シリーズ『HiGH&LOW』のアクション描写でも高い評価を得た。LDH映画部門は三船敏郎のドキュメンタリーも配給しており、あらゆる面で“ガチ”な会社と言わざるを得ない。
漆間将生が格闘技を始めた理由
“ガチ度”の強いオーディションには、さまざまな個性を持つ選手が集まった。漆間将生が格闘技を始めたきっかけは、父親からのDVだったという。自分と母親、祖母を父の暴力から守るために、彼は強くなるしかなかった。格闘家として成功し、父を見返したいという思いもあった。
だが試合で結果を出していくと仲間が増え「お前はここで収まる人間じゃない」と背中を押された。目標は「世界」になった。地元の鹿児島から昨年、上京。人生をかけてこのオーディションに臨んだ。
最終審査試合は、前半がオーディション参加者同士の対戦、後半は“外敵”選手を迎えての対抗戦だった。アマチュアで実績のある漆間は後半戦に出場。対戦したのは大沢の愛弟子、吉村海飛だ。高校時代に極真空手日本一、アマチュアMMAで7連続KO勝利中の吉村の参戦について、大沢は「いいんですか?」と語っている。「勝っちゃいますけど番組的にいいんですか?」ということだろう。
漆間はどれだけ殴られても前に出てテイクダウンを狙った。「これしかない」と思い定めた、気持ちの伝わる闘いだったがスプリット・デシジョンで敗退。
番組内で注目度が高くても試合に勝てるとは限らない。最終審査のマッチメイクもまた“ガチ”だった。「そこは(高谷たちに)お任せしてますから」とEXILE HIRO。そして「勝ち負けは大事なんですけど、負け方にも物語が生まれる。そこから這い上がってくるのも強さだと思います」と付け加えた。高谷は「性格的にそういうマッチメイクしか思い浮かばなかったですね。自分が見たいというのもありましたし、選手にそれだけのポテンシャルがあると思った。ギリギリの一番いいマッチメイクじゃないかと」。