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吉田麻也がOAに求められる理由…ロンドン五輪後に語った「あいつらが居座っている椅子、狙っちゃおうぜ」【史上初3度目の出場へ】 

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松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2021/05/21 17:01

吉田麻也がOAに求められる理由…ロンドン五輪後に語った「あいつらが居座っている椅子、狙っちゃおうぜ」【史上初3度目の出場へ】<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

6月の親善試合に臨むU-24代表メンバーに名を連ねた吉田麻也。五輪は北京、ロンドンと3度目の出場となる

 吉田は2018年のロシアW杯後、長谷部誠が巻いていたA代表のキャプテンマークを引き継いだ。当時、目指すべきキャプテン像を聞いたことがある。

「日本人選手ならば、“優等生タイプ”のリーダーはたくさんいると思うんです。ハセさん(長谷部)は、その象徴的な存在で、あれほどチームのことを第一に考えて、利他的に行動できる人はいない。ご存知のとおり、僕は“優等生タイプ”じゃないから(笑)、ハセさんと同じことはできない。僕はもっとモチベーターというか、強いキャラクターで、苦しいときに周囲を引っ張るような存在になりたい。ジョン・テリーや、ロイ・キーンのようなイメージですね」

 長谷部がチームを“整える”タイプのキャプテンだとすれば、吉田はチームを“奮い立たせる”。ロンドン五輪のときも、そうだった。

 チーム合流後、ニュージーランドとの壮行試合をスタンド観戦し、「ビルドアップでの簡単なミスが多い」と感じれば、山口蛍ら主力にずばり指摘した。現地入り後、試合会場に向かうチームバスの雰囲気が緩んでいると見れば、「試合への入り方が大事なんだ。この雰囲気は違うんじゃないか」と、鋭く物申した。

 普段は毒舌キャラではない。年下の選手からイジられるのもウェルカム。ただ、代表の活動期間となれば、話は別。2008年と同じ思いをしたくない。後輩たちに、あの悔しさを味わってほしくないからだ。

北京五輪で味わった悔しさ

 ロンドン五輪の4年前、吉田は“滑り込み”で北京五輪への切符をつかんだ。アジア予選で絶対的な主力だった青山直晃が落選する中での、サプライズ選出。ところがアメリカとの初戦、ナイジェリアとの2戦目もベンチから見つめ、消化試合となったオランダとの3戦目にしか出場できなかった。

「大会前は、青くん(青山)が少しでも認めてくれるような、恥ずかしくないプレーをしようと誓ったはずなのに……本番が近づくにつれて、心が守りに入って。ボールを奪いに行くべき場面でも、後ろで相手のミスを待つようなプレーばかりになってしまった。その結果、スタメンから外されて、大会中もずっと『違うな』と感じていました。

 オランダ戦前になって、ようやく『せっかく北京まで来ているのに、自分のプレーを出さずに帰るなんて面白くねぇ。どうせ帰るのなら、たとえミスをしてもいいから自分の良さを出して、思い切ってインターセプトを狙おう』って吹っ切れた。それで、良いプレーができたんです。

 だからこそ、最初からこういうメンタルでプレーできていれば、チームとしての結果も変わっていたはず。あの北京での苦い経験が、その後のサッカー人生に生きていると思います」

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