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引退・福岡堅樹、“最後の試合”でもトライ 「ラグビーのおかげで効率だけでは…」 W杯秘話と名将エディーに怒鳴られた日
posted2021/05/23 17:02
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Getty Images
<名言1>
ラグビーのおかげで「効率だけではやっていけない世界」を知ることができたと思います。
(福岡堅樹/Number880号 2015年6月18日発売)
◇解説◇
福岡堅樹の代名詞と言えば、その猛烈なトップスピードとともに「文武両道」である。
福岡高校時代、ラグビーに打ち込みながらも医学部を目指していた。ラグビーへの思いは捨てがたく、1浪後に筑波大学情報学群に入学したが、いずれは医学部に編入したいという希望を持っていた。そんなクレバーな福岡は、何ごとにも根拠を求め、合理性や効率を追求する。勉強も、練習もそうだ。
「僕は練習の長さを計算して、体力の配分を考えることが多かった」
「今までの人生で一番死に物狂いになっていますね」
しかし、2015年W杯前のタイミングで――当時の日本代表ヘッドコーチだったエディー・ジョーンズに怒鳴られたことで考え方が変わったという。
試合形式の練習中、相手が蹴ったボールを福岡が背走して追ったが、相手に先に追いつかれてトライを許した時のことだ。
「100%のスピードで戻っていれば、トライを防げた。『グラウンドから出ていけ』と言われ、練習に入れてもらえませんでした」
全力を出しきることの大切さをエディーは教えたかったのだろう。それを受けて福岡はこのように話している。
「今までの人生で一番死に物狂いになっていますね。怪我が怖いけど、それを恐れて余裕を持てるほど突出した選手ではありませんから」
そんな福岡は2015年W杯メンバーとして南アフリカを撃破する「ブライトンの衝撃」を経験。その後はジェイミー・ジョセフ体制に欠かせないトライゲッターとなり、2019年W杯の主力メンバーへと駆けあがっていった。