大相撲PRESSBACK NUMBER

夏場所も「4大関」の明暗分かれる…波乱を起こし、照ノ富士を止める可能性のある力士は誰だ? 

text by

荒井太郎

荒井太郎Taro Arai

PROFILE

photograph byKYODO

posted2021/05/18 17:10

夏場所も「4大関」の明暗分かれる…波乱を起こし、照ノ富士を止める可能性のある力士は誰だ?<Number Web> photograph by KYODO

大相撲夏場所初日 、照ノ富士がきめ出しで明生を下す

 果たして、今回の対戦も先手を取ったのは高安だった。防戦一方の照ノ富士は土俵際まで押し込まれ「我慢してよかった」と最後は叩き込んで物言いがつく際どい相撲を辛うじてモノにした。終始、優勢だった高安にとっては悲願の初優勝が遠のく痛恨の3敗目となってしまった。

照ノ富士を止める力士は現れるか?

 同日、貴景勝は大栄翔に押し出されて2敗に後退。トップを走る照ノ富士と後続との差は2つに広がり、独走の雰囲気すら漂ってきた。初の全勝優勝も現実味を帯びてきた苦労人の大関にとって、この日の白星はとてつもなく大きい。ただ、懸念材料があるとすれば、今場所初めて攻められっぱなしの相撲を取ったことによる、古傷を抱える両膝へのダメージだ。疲労が蓄積していけば今後の相撲にも影響しかねない。要注意は一発がある阿武咲や貴景勝といった押し相撲タイプの力士だ。過去1勝4敗と苦戦している前頭五枚目の阿武咲とは平幕上位で休場者が出たことで、対戦が組まれるかもしれない。あとは優勝争いの興味を少しでも引っ張る意味でも、他の大関陣の意地に期待したいところだが……。

 終盤で一波乱あるとすれば、小結御嶽海が不気味な存在として浮上する。場所前はいつも10勝以上を目標に掲げるが昨年7月場所以来、到達できずにいる。今場所前も「2桁。そこしか見えてない」と語っていたが、今回ばかりは信じてもよさそうだ。10日目に顔が合う朝乃山戦を乗り切れば終盤5日間の対戦相手は平幕力士となり、今場所の相撲内容の充実ぶりからして2敗のまま最後まで突っ走る可能性も大いにあり得るだろう。

 先場所はともに平幕上位で10勝を挙げながら番付運に恵まれず新三役はならなかった若隆景、明生が今場所も大いに土俵を沸かせている。いかにも稽古でのし上がってきた両者の直接対決(7日目)は濃密な攻防が詰まった見ごたえ十分の一番だった。優勝争いとは別にこの2人と隆の勝、大栄翔らとの来場所の三役の座を懸けた戦いぶりも必見。相撲内容という点で今後の大きな見どころとなるはずだ。

関連記事

BACK 1 2
#照ノ富士
#貴景勝
#朝乃山
#正代
#高安
#阿武咲
#御嶽海

相撲の前後の記事

ページトップ