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夏場所も「4大関」の明暗分かれる…波乱を起こし、照ノ富士を止める可能性のある力士は誰だ?

posted2021/05/18 17:10

 
夏場所も「4大関」の明暗分かれる…波乱を起こし、照ノ富士を止める可能性のある力士は誰だ?<Number Web> photograph by KYODO

大相撲夏場所初日 、照ノ富士がきめ出しで明生を下す

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荒井太郎

荒井太郎Taro Arai

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 一人横綱の白鵬が6場所連続休場でまたも横綱不在となった夏場所は4大関安泰で幕を開け、久しぶりに大関陣が優勝戦線を引っ張る展開も予感させた。しかし2日目には照ノ富士を除く3大関に土がつき、淡い期待には早くも暗雲が垂れ込め、9日目の時点ですでに4敗の朝乃山とカド番の正代は優勝戦線に絡むことなく圏外に追いやられた。

 ストレートで給金を直した照ノ富士が単独トップに立ち、貴景勝もただ1人、1敗で折り返す。前半戦を終わって出場する番付最上位の2人が場所をけん引する形となったが、全体的な印象としては21場所ぶりに大関に復帰した照ノ富士の強さだけが際立っていたのが現状だ。

“4戦4敗”苦手の「高安戦」は?

 4月に行われた合同稽古の参加を見送った照ノ富士について、場所前、師匠の伊勢ヶ濱親方(元横綱旭富士)は「稽古はあまりできていない。先場所、膝をケガしているので、その状態を見ながらやっています」と語るなど、体調面が不安視されたが場所が始まってみれば全くの杞憂だった。

 初日は元気のいい明生に対し、もろ差しを許したものの立ち合いから構わず前に攻め立て極め出す力強い相撲で白星発進。序二段から這い上がり、大関として久々に受けた勝ち名乗りにも「特に深い考えはない」と感慨は一切なし。その後も難敵を次々となぎ倒して白星を重ねていったが、得意の右四つに組み止める場面は意外に少ない。形にこだわることなくとにかく前に前に圧力をかけていきながら、対戦相手や戦況によって臨機応変に対処している。こうした積極的な相撲ぶりが、これまでやや分が悪かった隆の勝や大栄翔を危なげなく一蹴するなど、安定した相撲内容につながっている。無傷で勝ち越しを決めても「別に意識していない」と意に介さないのは場所前からさらにその先を見据えているからであろう。

 付け入る隙のない強さを誇る全勝の大関にとって、9日目の関脇高安戦は終盤の大関戦以上に最大の難関だったはずだ。幕内復帰を果たした昨年7月場所以降、4戦4敗と一度も勝てないばかりか、十分の左上手すら取らせてもらえず、常に先に先に動く高安に主導権を握られっぱなしだ。

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