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【16日代表決定戦】男子体操3強が挑むNHK杯決戦 五輪の“2枠”は橋本、谷川、萱、誰の手に?
posted2021/05/15 06:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PHOTO
5月15・16日に体操のNHK杯が開催される。東京五輪代表選考を兼ねた重要な一戦だ。
15日に女子、16日に男子が行なわれるが、男子は若い世代の台頭とともに、熾烈な競争が展開されようとしている。
女子と男子とでは選考方法に少し違いがあり、NHK杯を経てオリンピックの団体メンバー3名が決まる女子に対し、男子は4月の全日本選手権とNHK杯の合計得点における上位2名が内定する。残り2名の枠はその後に別途選考されるが、全日本を終えて上位にいる選手は、まずはここで代表入りを果たしたいところだ。
その全日本選手権で1位になったのが橋本大輝だ。現在19歳と、体操界では若手に相当する選手だが、早くからその将来性を嘱望される存在だった。
2019年の世界選手権に、白井健三に続く史上2人目の高校生代表として出場を果たし、同年のスーパーファイナルで優勝。コロナ前の五輪代表選考基準では切符獲得の最短経路となるはずだったワールドカップの出場権も手にしていた。
そして、今年4月に開かれた全日本選手権でも実力を発揮。しかも予選7位からの大逆転での優勝であった。
「エースになる」、そんな意気込みが重圧となったか、予選はあん馬で2度落下するなどミスが出た。試合が終わると涙を流し続けた。
復調のきっかけは金メダリストのアドバイス
しかし決勝では一転、見違える演技を披露する。最初の種目、予選で失敗したあん馬の倒立で乱れかけたが踏みとどまってまとめると、跳馬では世界最高難度の「ヨネクラ」を決めて15点台の高得点を叩き出す。平行棒、鉄棒、ゆかでも15点台に乗せての優勝であった。
予選から立て直せたのは、周囲のアドバイスがあったから。指導を受けるのは、2004年アテネ五輪団体金メダルのメンバーであった冨田洋之氏。
「お前ならできる」
「ここで6種目ミスなくやれれば、一皮むける」
コーチからの後押しがあった。
予選後には内村航平からも「切り替えてやれれば大丈夫」とアドバイスされていた。
金メダリストの先輩からの言葉が復調の支えとなった。