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相澤晃「伊藤と2人で外国人勢に食らいつきたい」 復帰戦で自己ベストの男が見つめる“日本人未到の26分台”
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byAsami Enomoto
posted2021/05/14 11:01
READY STEADY TOKYOの5000mで自己新記録を叩き出した五輪10000m代表の相澤晃
日本記録を更新したレースの大きな代償
男子10000mの東京オリンピック代表を勝ち取った昨年12月の日本選手権では、従来の日本記録を10秒以上更新する27分18秒75というハイパフォーマンスを見せた。だが、その代償も大きかった。
「反動はもちろんありました。準備不足で、体の調子も100%ではなかったので、日本選手権の後にケガをしてしまったんだと思います」
注目されたニューイヤー駅伝は、右膝の故障で回避。その後も約2カ月間は思うような練習が積めなかった。
その日本選手権で相澤と競り合った伊藤達彦(Honda)も、その後に両脚の大腿骨を疲労骨折しており、いかに両者の争いが激闘だったかを物語っている。
「大学時代にやってきたようなことをもう一度」
走れなかった期間は、補強トレーニング等に重点を置いた。
「大学時代にやってきたようなことをもう一度しっかりやろうと思って、一からきちんとやるようにしました」
3月からは練習も再開。たしかに復帰レースは遅れたが、基礎的な練習に立ち返って、ロングジョグなどを中心にしっかり走り込んだという。
そして、復帰レースは、得意の10000m以上にスピードを要する5000mだったが、いきなり自己記録で走った。
「目標としていた自己ベストを更新することができたので、今の時点ではまずまずだったんじゃないかと思います。スピード練習はしていなかったので、前に出る余裕はなかったんですけど、その中でも粘り抜けたのは、基礎練習をしてきた成果かなと思います」
相澤自身、及第点を与えることができるレース内容だった。だが、あくまでもまだ5~6割の状態。完全復活に向けて、現状を確認するように走っていたに過ぎない。
それに、ラスト1000mこそ2分36秒でカバーしたが、4000mまでの1000m毎のラップは2分42秒~2分44秒だった。もちろんこれでも十分に速いが、相澤が目標に掲げる10000m26分台を出すには、倍の距離でこれよりも速いラップを刻まなければならないのだ。