濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「女優vs交通情報のお姉さん」に18歳同士“意地の張り合い”対決も… 若手勢ぞろいの興行“ピースパ”に見る女子プロレスの未来
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/05/10 11:00
女優の向後桃(下)やプロレス教室からデビューの石川奈青など、近年多くの若手女子レスラーが誕生している
18歳鈴季すずと18歳星いぶき
逆に若くしてトップ戦線で活躍する選手もいる。アイスリボンの前シングル王者、鈴季すずは18歳。中学卒業とともに宮崎の実家を出て入門した。この日のタッグパートナーはディアナの梅咲遥。20歳のデビュー3年目で、アイドルの経験もある。
対戦したのは18歳、高校3年生の星いぶきとアクトレスガールズの役者兼レスラー・三浦亜美。気が強く主張も技も激しい3人に、昨年夏デビューの三浦も170cmの体躯で対抗していく。得意技のアルゼンチン・バックブリーカーはアクトレスガールズでも名物と言っていい。
試合のクライマックスはすずといぶきの打撃戦。すずがエルボー、いぶきがチョップを交互に打ち込み、お互い胸を突き出して(痛みに顔を歪めながら)受ける。このあたりの意地の張り合いは、普段とは違う“若手興行”ならではの場面かもしれない。ピースパの常連である花穂ノ利(シードリング)は、試合のたびに誰かしらを“標的”にしてケンカごしで向かっていく。
「一緒にちゃんこ食べて、道場の掃除もします」
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P's Partyは若手が経験を積む場だから、大会の日には出場選手たちが団体に関係なく集まって合同練習を行なう。そこで一体感が生まれ、同時にライバル意識も出てくる。今年から大会プロデューサーになった春輝つくしが説明してくれた。
「なんでもすぐにできちゃう選手もいるし、まだできないことのほうが多い選手もいます。差を感じるからこそライバル意識も出てくるんだと思います。しかも一緒にいる時間が長いですから。試合の日は練習だけじゃなく一緒にちゃんこ食べて、道場の掃除もします。その中で“アイツには負けたくない”という感情が自然に出てくる。負けて悔し泣きする選手もいますね。
私もよく悔し泣きしていたので、気持ちが分かります。選手たちの“○○に負けて悔しい”、“○○には負けられない”という言葉を聞くとマッチメイクの参考にもなります。そういう気持ちがあるから試合がバチバチして面白くなる。そこが他とは違うピースパの魅力だと思います」