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「女優vs交通情報のお姉さん」に18歳同士“意地の張り合い”対決も… 若手勢ぞろいの興行“ピースパ”に見る女子プロレスの未来
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/05/10 11:00
女優の向後桃(下)やプロレス教室からデビューの石川奈青など、近年多くの若手女子レスラーが誕生している
“本当は怖いマドレーヌ”
兼業といえば、第2試合に出場したバニー及川はレスラーとレフェリーの兼業だ。もともとレフェリーだったが、一昨年5月1日に“令和の新人第1号”として選手デビューを果たした。まだ黒星が多いが、3月、4月のピースパで開催されたリーグ戦では関節技主体のファイトスタイルで成長ぶりを見せている。
派手な闘い方ではないから観客に伝わっているかどうか不安な面もあるのだろう。“質実剛健”に徹しきれないようでもあるのだが、何か一つ結果を出せば大きく変わるような気がする。
そのバニーとタッグを組むことも多いマドレーヌ(ディアナ所属)はプロレスとMMA(総合格闘技)の二刀流だ。5.4ピースパではテクラと対戦。オープンフィンガーグローブ着用で凶器使用OKの試合に挑み、善戦した。普段はコミカルな試合をすることも多いだけに、スタイルの切り替えが際立つ。“本当は怖いマドレーヌ”をどれだけ浸透させるかが出世の鍵になりそうだ。
浅いキャリアで引退を選ぶ選手たちも
リーグ戦の決勝で敗れた進垣リナは、11月に引退することを表明している。2018年4月デビューだからまだ4年目。引退は早すぎるようにも思えるが、レスラーになったのが20代後半だから考えるところもあるのだろう。5.4横浜大会で彼女とチームを組んだ松屋うのも翌日の大会で引退を発表した(ラストマッチは6月27日の後楽園ホール大会)。やはり30代で、フィットネス関係の仕事をしたいという新たな夢ができたという。
デビューが遅い選手がいて、そのぶん浅いキャリアで引退を選ぶこともある。それもレスラーの幅が広がった結果だ。早すぎる、遅すぎるということはない。本人が「やり切った」と思えるのなら、それでいいはずだ。