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大谷翔平が「本塁打トップで先発投手」 ベーブルースに並ぶ“100年ぶりの快挙”を生んだ「3年前の決断」
posted2021/04/28 17:05
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
KYODO/Getty Images
『野球発祥の地』その米国で大谷翔平が神様ベーブ・ルースに肩を並べた。この事実に大谷翔平は淡々と話した。
「嬉しいことは嬉しいですね、やっぱり。そういう選手を引き合いに出してもらえるのは、すごい嬉しいことだと思います」
100年ぶりの偉業「本塁打トップで先発投手」
歴史的快挙に日米は騒然としていた。
1921年6月13日。ヤンキースのジョージ・ハーマン・ルースはトップの19本塁打を放ち、タイガース相手に先発投手のマウンドに上がった。
100年のときを超え、2021年4月26日。大谷翔平は7本塁打で両リーグ本塁打トップタイに立ち、レンジャーズ相手に先発した。
本塁打トップの選手が先発投手を務めるのはメジャーの歴史上でこのふたりだけ。米国人にとって大谷は『感嘆』、日本人にとっては『誇り』となった。
結果はルースが5回0/3・4失点で勝利投手。大谷も5回4失点の勝利投手。偶然か、それとも神の導きか。26歳という年齢で快挙を成し遂げたことも同じ。ふたりは見えない糸で繋がっていたということか。大谷は苦笑しながら言った。
「その時代をもちろん生きていないのでわからないですけど……。望むなら5回無失点、6回無失点を僕は目指してやっている。偶然は偶然として、もっともっと良くなるようにやっていきたい」
マドン監督は「野球IQの高い選手だ」と絶賛
打者として、ルースは豪快だった。2本塁打3打点で勝利を手繰り寄せ、一方の大谷は2安打3得点で躍動した。日本が生んだ二刀流は、走る力と野球センスも感じさせた。
四球で出塁した1回、2死一、二塁からウオルシュの右前適時打で颯爽とホームにスライディング。2回には1点差に詰め寄る適時二塁打を放つとベンチのジョー・マドン監督に『盗塁の許可』を求めた。DH出場の際はほぼ『グリーンライト』。いつもは本人の自主性に任せる指揮官が、この時ばかりはまだ試合も序盤、既に2死の状況も鑑み、投球への影響を考慮した。
「待てのサインを出さないといけないほどだった」