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五郎丸歩が中村俊輔に語っていた“ルーティンポーズの意味”「メンタルと『戦う』という感じではないんです」 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTadashi shirasawa

posted2021/04/27 11:02

五郎丸歩が中村俊輔に語っていた“ルーティンポーズの意味”「メンタルと『戦う』という感じではないんです」<Number Web> photograph by Tadashi shirasawa

2016年に実現した五郎丸歩と中村俊輔によるスペシャル対談

五郎丸 ラグビーの場合は試合が終わると(アフターマッチファンクションで)両チームが集まって軽食を取ったり、ビールを飲んだりするんですよ。だから試合直後に振り返ることも実はあんまりないんです。

中村 試合が終わって相手チームとビールを飲むって、サッカーの世界だと考えられないかも。僕は試合が終わったら、とにかく振り返るクセがついている。何か気づいたことがあれば、ノートに書いたりもしますけど。

大事にしている「文字に起こす」こと

五郎丸 自分もW杯期間中は日記をずっと書いていました。W杯という舞台は、スペシャルなものじゃないですか。それを感覚だけで覚えておくのが嫌で、文字に起こすことで自分のものにしようと思ったのが書くきっかけでした。

 書くことでいろいろと(考えの)整理がついたというのもありますし、10年後、20年後に自分が何を感じていたかというのを、読み返せるのでいいなと思いましたね。でも、普段はまったく日記つけたりとかしていないんですよ。マメなタイプではないので。

中村 僕は高2のときにメンタルを指導する先生がついてくれて、試合で良かったことや悪かったことなんかを書いていくうちに段々と身についてきて、そのときの情景とか感覚を文字に起こすようになっていって……。今ではノートに書く内容も歳を重ねるにつれて、技術面よりメンタルのほうが多くなってきたかな。たまにグチっぱくなったりもしますけど、書くことでストレス解消になったりもする。次にどうしていけばいいか、文字にすることで整理がつくということもあるから、僕はずっと続けてますね。

メンタルと「戦っている」わけではない

五郎丸 自分にはルーティンというものがありますけど、別にメンタルと「戦う」という感じではないんです。自分と向き合っているだけで、周りには左右されない。自分の行動や触れられるものでコントロールしていくことで、いかにキックの成功率を上げていくことができるか、「自分」というものでいられる努力ができるか。そこにずっとフォーカスしてきて今があります。

中村 僕も意識してメンタルのトレーニングをやっているつもりはないんです。FKを練習するとき、シチュエーションを設定することもある。たとえば0-3で負けていてメンタルもやられているときに、後半ロスタイムで直接FKの場面が訪れたとする。すでに勝敗には関係ないかもしれないけど、この1本を決めることができたら、次につながるかもしれないと思うと捨てられないんです。

 だからこそ、練習で疲れているときにも1本、ここで蹴ってみておこうかなと。そういうことを想定しながらやっている感じですかね。

【次ページ】 五郎丸歩×中村俊輔が考えた「キックの奥深さ」

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