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錦織圭に足りないのは「安定感」だけ? “クレー勝率9割超え”のナダルに「彼はトップ10に戻れるか?」と聞いてみたら…
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph byGetty Images
posted2021/04/23 17:03
過去2度も優勝経験があるバルセロナ・オープンの3回戦で、ラファエル・ナダルにフルセットで敗れた錦織圭
一方的な展開で第1セットを落としたものの……
ナダルがサーブを選択して始まった3回戦。第1セットは0-6だったとはいえ、錦織にもブレークチャンスはあった。
ゲームカウント0-2の第3ゲーム、15-40。しかし、ここはバックハンドをネットにかけ、次のポイントは相手の強烈なサーブでしのがれた。悔やまれるのが最初の1本。錦織はバックハンドの見事なダウンザラインでナダルの甘い返球を誘った。ここで前に出ていればボレーで仕留められたが、ベースラインから動かず、結果的に自らのミスショットで終わってしまった。序盤でブレークバックできず、その後は一方的な展開でセットを落とした。試合開始から、31分しか経っていなかった。
第2セットは第2ゲームで30-40のピンチ。ここでサービスゲームを破られたら敗戦濃厚という場面で、錦織は好プレーを見せた。第2サーブを回り込まれて強烈なフォアハンドのリターンを受けながらも、深いショットを続け、バックハンドのクロスで相手の体勢を崩してしのいだ。ここからナダルが乱れ始め、錦織はサービスゲームをキープ。この試合で初めてゲームを奪い、「あれを取られていたら、たぶん終わっていた」と振り返った。
第3ゲームもナダルのミスは止まらず、錦織が一気にブレーク。攻撃のリズムが良く、コートの中に踏み込んで角度をつけたショットを何度も打ち抜いた。高く弾む球を交ぜながらナダルのスピンボールにも応戦。第2セットの内容は錦織が上だった。
第1ゲームを含めて4度もチャンスを逃した
迎えた最終セット。序盤の流れは、まだ錦織にあった。
第1ゲームのリターンゲームは見事なパッシングショットも決め、0-40。ところが、3度のブレークチャンスはいずれもナダルの好プレーにしのがれ、5連続失点で好機を逃してしまう。第3ゲームでも錦織はブレークポイントを握りながら、深く入れようとしたバックハンドのストレートがベースラインをオーバー。第1ゲームを含めて4度もチャンスを逃し、「大事なポイントを取れていない」と敗因に挙げた。
ここで集中が落ちたか、錦織は第4ゲームでショットのミスを続けてピンチを招き、ラリー戦でわずかな隙を突かれてサービスゲームを破られた。息を吹き返したナダルはその後、ミスを続けてくれなくなった。