「東京都足立区をバカにしたんだ」

　舌戦は続くが内藤は余裕を見せる。

「なあO-カーン。オフは、暇人だったんだろう。ならさあ、オレの地元である東京都足立区の観光にでも行ってくればよかったのに。東京武道館を見ながら、丸武商店の唐揚げを食べる。そんなオフ、最高だよ。そういえば、O-カーンってどこ出身なの？　もしかしてモンゴルだったりするの？　オレの地元である東京都足立区をバカにしたんだ。じゃあO-カーンの地元を、オレに詳しく紹介してくれよ」（内藤）

「あと、オレの知名度のこともいろいろ言ってたけどさ、そんなにO-カーンの知名度がメチャメチャあるんだったら、会場のお客様に新発売のO-カーンTシャツを着ていただいて、会場に来てもらえばいいじゃん。それほどの知名度があるんだろう」（内藤）

「すべて、コンプレックスの塊だもんな」

　O-カーンはパワーで内藤を攻め続ける。だが、内藤もキャリアの差でO-カーンに対して頭脳的な立ち回りを見せている。

「いいか、広報ってのは言葉だけじゃねえんだよ。いいか、帝国の強さは、常にリングで示している。そうだろう。そんなに余が気になって仕様がないか。まあ、仕方ないだろう。生まれも、育ちも、学歴も、これまでやってきたことすべて、プロレスも、コンプレックスの塊だもんな。貴様は愚民に媚を売ってもブーイングしか取れず、東京ドームでは不人気のために、メインを外されたんだからな」（O-カーン）

　O-カーンは覚えていたのか、調べ上げたのか、内藤の過去に触れた。

　2014年1月4日の東京ドーム、オカダ・カズチカvs内藤のIWGP戦が、ファン投票で中邑真輔vs棚橋弘至のインターコンチネンタル戦に試合順でメインを奪われた時の話だ。内藤にとってはダブル・メインイベントの第1試合という屈辱だった。

「いくらごまかそうが、過去は変わらない。ロス・インゴは連敗し、貴様は余に負けているんだよ。だからといって、未来も変わらない。貴様は常に、挫折する運命だ」（O-カーン）

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