プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「貴様がこんなにも無様な男だとは思わなかったが」 “リーダーではない”内藤哲也と“連合帝国軍広報官”の心理戦
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2021/04/23 11:00
グレート-O-カーン(右)から内藤哲也への罵倒が止まる気配はない
「舌のお掃除はできないのかな」
「オイ、内藤、褒めてつかわす。貴様が久しぶりに飯にありつけた貧乏人みてえによ、ベロベロと余の靴を舐め回してくれたおかげできれいになったよ。どうせ、広島のカードも会社の役員の靴でも舐めて、組んでもらったんだろう。情けねえ男だ」(O-カーン)
連合帝国広報官の毒舌は止まらない。
「そのハゲあがった頭を床に擦りつけてたな。貴様がこんなにも無様で情けない男だとは思わなかったが、忠犬のように余の命令に従ったのだ。頭を床に擦りながら靴を舐める、その下僕精神は褒めてやるが、くせえんだよ。ちゃんと舌まできれいに歯磨きして来い。それともファンに嘘をつき続ける二枚舌だから、舌のお掃除はできないのかな」(O-カーン)
これを内藤は軽く受け流す。
「O-カーンの何がいいって、あの目力がいいね。あと、辮髪? あれ見るとさあ、オレ、ついつい引っ張りたくなっちゃうんだよね。きっとO-カーンも、辮髪を引っ張られることに、喜びを感じてるんじゃないの? 次の大会も、その次の大会も、O-カーン自慢の辮髪を引っ張り回してやるぜ」(内藤)
「敗者が、ただで済むと思ってんじゃねえ」
IWGPヘビーとインターコンチネンタルの2冠王者だった内藤は1月4日の東京ドームで飯伏幸太に敗れて無冠になった。そして2月28日の大阪城ホールで、飯伏のインターコンチネンタル王座に挑んだが、またしてもヒザを浴びて敗れてしまった。3月4日の日本武道館ではニュージャパンカップ1回戦でO-カーンにヒザ十字を決められて完敗した。
「今年のオレのシングルマッチの戦績は3戦3敗。非常に情けない状況ですが、こんな時だからこそ逆転の内藤哲也。ここから内藤哲也、そして我々ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの巻き返しが始まることでしょう。その最初のきっかけとなるのが4月26日、オレのホームである広島大会にて、逆転の内藤哲也のきっかけを掴ませていただきますよ。まずはグレート-O-カーン。逆転の内藤哲也のきっかけになれるんだ。ありがたく思えよ」(内藤)
これにO-カーンがまた返す。
「逆転の内藤。逆転、逆転と、自分が落ちこぼれなのを理解していることは、とてもいいことだ。だがなあ、敗者が勝者にたてついて、ただで済むと思ってんじゃねえぞ。広島で、また負けるようなことがあれば、ロス・インゴのリーダーの座を、(高橋)ヒロムかSANADAにでも譲ってもらおうか。貴様は今後、一生、二番手として生きていくんだよ。 嫉妬深い、星屑野郎には、これで心からの挫折を味わえるだろう」