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「貴様がこんなにも無様な男だとは思わなかったが」 “リーダーではない”内藤哲也と“連合帝国軍広報官”の心理戦
posted2021/04/23 11:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
現在、新日本プロレスのリングで急速に勢力を拡大しているユナイテッド・エンパイア(連合帝国)は、IWGP世界ヘビー級王者ウィル・オスプレイ、グレート-O-カーン、ジェフ・コブ、アーロン・ヘナーレの4人で構成されている。
その連合帝国軍にひどく口の悪い広報官がいる。辮髪の怪人O-カーンだ。今のターゲットは内藤哲也らの制御不能軍ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(L.I.J)だ。
「弱い犬ほどよく吠えるとは、内藤のようなヤツを言うんだろうな。日本のスラム街みてえなところで(育って)、立派な学歴もないテメエにひとつアドバイスを送ってやる。あんまり強い言葉を使うな。弱く見えるぞ。内藤ごときが余に勝てるはずもなく、ロス・インゴごときが連合帝国に勝てるわけもない。下僕のくせに、夢を見るな」(O-カーン)
連合帝国広報官は吠え続ける。
「ひれ伏せ、愚民ども。最近、めっきり活躍も話題もないカスみてえなロス・インゴを駆除し、今宵のメインイベントを支配したわれわれ連合帝国を、称えろ。なんだって? 全然聞こえねえよ」
観客はO-カーンに大きなブーイングを浴びせたいところだろうが、広報官は拍手しかできない観客を愚民とののしり楽しんでいる。
「L.I.Jなんて、無価値な集まりだ」
IWGP世界王者オスプレイも観客に不満だ。
「なぜ誰もユナイテッド・エンパイアのTシャツを着ていないんだ? L.I.JのTシャツばかりじゃないか。L.I.Jなんてオレたちの足元にも及ばない、無価値な集まりだ。シンゴ・タカギ、燃えているな。いいじゃないか。オマエの熱がひしひしと伝わってきたぞ。そのまま燃え続けてくれ。だが、福岡でこのど真ん中のオレが鎮火してやる。ユナイテッド・エンパイアのレベルの違いを見せてやろうじゃないか」
Tシャツなどのグッズの売り上げではL.I.Jが他を圧倒している。内藤からしたら「会社の経営を支えているのはオレたちじゃないか」と言わんばかりだ。
かつてバレット・クラブが支配していた世界を塗り替えたのは内藤たちL.I.Jに他ならない。Tシャツはもちろん、帽子であれ、スカーフであれ、タオルであれ、その売り上げは他の追随を許さない。