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大谷翔平の“異才ぶり”をチームメイトはどう表現したか?「彼はユニコーンだ」「リトルリーグの試合みたい」
posted2021/04/19 17:03
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
“かかりちょう”
我々の仕事仲間の間でこんな言葉がある。
前のめりにかかり気味に取材するさまを“係長”にかけて呼んでいるのだが、今、大谷翔平を取材する米国人記者たちは皆、“かかりちょう”だ。
オープン戦から自己最速の101.9マイル(約164キロ)を投げ、打率.548、5本塁打。投打同時出場も果たし、ようやく持てる才能を存分に発揮し出した大谷の異才を目にすれば、“かかりちょう”になるのも無理もない。
コロナ禍の影響で日々の取材は昨季からZoomで行われるようになった。今季もそれは同様。エンゼルスは試合前と後にジョー・マドン監督の他に必ず選手もしくはコーチをZoomセッションに連れてきてくれるのだが、今年は必ず米国人記者たちが「大谷をどう思うか?」と聞いてくれる。我々にとってはありがたい限りである。
開幕戦。試合前に呼ばれたのは殿堂入り間違いなしのアルバート・プホルスだった。通算3243安打の41歳は大谷についてこう言った。
「何よりも健康であることがいい。去年は左膝が万全でなかったからね。私も同じ経験をしたことがあるが、膝の状態が悪いと同じ練習をしても同じではなくなってしまう。ショウヘイは素晴らしい1年を送ると思うよ。彼は逆方向へ飛ばせる。彼が飛ばしたいところにボールを飛ばせる。健康である証だ。上半身も強くなっているようにも見える。素晴らしいね」
歴代5位、現役最多の663本塁打を誇るレジェンドの言葉には説得力があった。
トラウト「ホームランを打って、101マイルを投げるなんて」
4月4日。今季初登板をDH解除の投打同時出場で果たした大谷は、強打で知られるホワイトソックス相手に4回2/3で7三振、3失点。勝敗はつかなかったが、5回2死からの捕手マックス・スタッシの捕逸がなければ、5回1失点で勝利投手の権利を手にしていた。
最速は101.1マイル(約163キロ)、92球で100マイル以上は9球にも及んだ。打っては第1打席に打球速度115.2マイル(約185キロ)の137メートル弾を右中間スタンドに放った。翌日の試合後のZoomで主砲マイク・トラウトは笑いながら言った。
「リトルリーグの試合みたいだったね。ホームランを打って、101マイルを投げるなんて信じられないね。でも最高だったのは、彼が塁上でイニングを終えた時、イッペイ(水原一平通訳)がショウヘイのグラブを持ってフィールドに出てきたこと。これは今までに見たことのないことだった(大笑)」
リアル二刀流の突出したパフォーマンスはもう当たり前。それよりも水原通訳がグラブを持ってチョコチョコとフィールドに出てきた姿が最高だったと笑うトラウトのセンスに、会見は大爆笑となった。