炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープ大瀬良大地、エースとして取り入れた“黒田博樹と同じ姿”とは 右肘手術も“2015年の涙”も進化の土台【今季30歳に】
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2021/04/15 06:00
カープのエースとして風格が漂う大瀬良大地(左)。3試合に登板して防御率0.89と抜群の安定感だ
「(マウンドで感情を出さない)それがいいことか悪いことかは分からない」としながらも、チームの先頭に立つ者として変化を求めた。
17年に阪神・藤浪晋太郎からの死球に笑顔で返した行動を緒方孝市前監督から指摘されたことがあった。
「見よう見まね」で得た黒田と同じ動きとは
理想のエース像の一人とする先輩、黒田博樹氏の映像を見て参考にした。
「最初は見よう見まねだったんです。常にどんなときでも同じメンタルでいられれば。そういう姿は相手も不気味かなと思う」
3アウト後すぐにグラブを右手に持ち替える動きは、かつてのエースと重なる。
「まぁいいかな、で終わってはもったいない」
自分の弱さと向き合うことは簡単なことではないし、弱音も愚痴もこぼしたくなる。人はそこまで強くない。
ただ、大瀬良は力強く、言う。
「まぁいいかなと、思ってしまいそうになることもあるけど、なんかそれで終わってしまうのはもったいない。転んでも、ただでは起きない。そういう経験も良かったと思える。そういう姿を見せたい」
8年目の今年、シーズン初登板で好投しながらも白星は得られなかったが、2戦目からは連勝した。どう過ごそうとも、今はすぐに過去となる。今を変えるのが自分自身とするならば、人は未来だけでなく、過去も変えられるのかもしれない。