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鈴木啓太「将来は浦和の経営に」宣言を支える岡田武史の言葉… リカルド新体制と阿部勇樹にエールも【インタビュー】
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/04/13 17:00
引退しても浦和レッズへの愛情がいまだ強い鈴木啓太
プロ選手を育てる前に、いち社会人として
――浦和レッズのアカデミー出身者が社会に出て、いろいろな分野で活躍してほしいと?
「そうなんです。プロ選手を育てる前に、いち社会人として、どういう人材を育てられるのか。当然、全員がトップチームに昇格できるわけではない。大学に進学した選手が卒業後、社会のいろいろな分野で活躍する。そんな人材を育てられるアカデミーになってほしいなと。子どもたちが『レッズではサッカーに限らず、いろいろなことを学んだな』と思えるような。そんなアカデミーを持てたら、地域において浦和レッズの価値がさらに高まるはず。浦和レッズのアカデミーで育った子どもたちが街の財産になる。だからこそ僕は育成には非常に興味があります。そういったところまで含めて、有効にお金を使っていただけたら嬉しいですね」
――「クラブの強化に役立てます」というのではなく、「育成に役立てます」と用途がはっきりしているのはいいですね。
「例えば、ファン、サポーターの方々がグッズを購入しますよね。もしかしたら、その代金の一部もアカデミーの強化に回っているかもしれないけれど、分からないじゃないですか。でも、今回の形なら、自分の購入代金の一部がアカデミーの子どもたちの育成に使われるんだと明確に分かる。そうすることで、ファン、サポーター、地域の方々が『自分たちもアカデミーの選手たちを育てている』と感じられる。そういう形を作りたかったんです」
会社を経営して分かったこと
――ホームタウンの各団体や浦和レッズのパートナー企業に向けて、「腸活」に関する講演会も計画しているそうですね。
「僕自身、会社を経営するようになって、従業員の健康がすごく気になるようになったし、一般企業においても、もっと気を使わなきゃいけないと思います。『健康経営』という言葉が浸透してきましたけれど、果たして実際のところはどうなのか。業務に追われて、そこまで手が回っていないことも多いのではないかと。そこで、浦和レッズを支えている各団体、応援している企業に対しても、貢献できることがあると思ったんです。僕たちは今、人の健康に大きく関わる腸内細菌の分野で日々、研究しているので、その話をさせていただければ、従業員の方々の健康に貢献できる。『腸内細菌って、聞き馴染みがないと思いますが、実はこんなにも健康に関わっているんですよ』って。浦和レッズを介して、パートナー企業や各団体と繋がれたらいいし、互いに学ぶ場になればいいなと思っています」