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池江璃花子100m自由形も優勝…五輪公式サイトも「ミラクル」と称賛した“特別な運命” 20歳のこれまでと今
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKyodo News
posted2021/04/08 18:05
競泳の日本選手権女子100m自由形で優勝し、4位の大本里佳(左)と抱き合って喜ぶ池江璃花子。ともに400mリレーの東京五輪代表に決まった
涙を流した高校1年生の“あの時”
リオデジャネイロ五輪代表選考を兼ねていた同大会、池江はその前年に「中学生スイマー」として世界選手権の代表選手になったことで、大きな注目を浴びていた。
世界の舞台を経験したとはいえ、まだ高校1年生になったばかり。それでも池江は100mバタフライで結果を残す。準決勝で57秒55の当時日本新記録をマークすると、決勝では57秒71、五輪代表選考基準である派遣標準記録を「0秒06」上回って五輪切符をつかんだのだった。
圧倒的なハイパフォーマンスを見せた池江だが、「もう、とにかく……」と語る表情は涙に溢れて、細かく言葉を紡ぎ出すのが精いっぱいだった。「200m自由形と2種目やるかどうか迷いました。今になって、間違いではなかったなと思いました」と語る通り、池江は決勝の前に200m自由形の予選と準決勝を泳いでいた。それでも心身を整えて表彰台のトップに立ち、最終的に同大会で4種目のオリンピック切符を手にすることとなった。
<名言3>
彼女の運命はきっと、本当に特別なものだと思います。
(伊藤華英/NumberWeb 2021年4月3日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/847629
◇解説◇
かつてオリンピックの舞台で戦ったスイマーの視点を通しても、池江の復活には驚きを隠せないようだ。
北京五輪に出場した経験を持つ伊藤氏は今大会が始まる前に「100m自由形、50m自由形、100mバタフライと50mバタフライの4種目にエントリーするほどまでになったことにまず拍手を送りたいです」と語るとともに、闘病後も池江の天性の素質である“肩甲骨と足首の柔らかさ”、そしてベストの泳ぎを追求する能力の高さに注目していた。
「白血病という究極の試練を味わって、ゼロどころかマイナスまでいった身体の状態をプラスに持ってきている。そしてさらにその上の段階を目指している。そういった池江選手の過程を見られていることが、私たちにとってとても貴重なのだと思います」
こうも語っていた伊藤氏が「最も可能性がある」と言っていたのは100m自由形だった。