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低迷続いたイングランドがやっとトンネル脱出? 育成強化が実ってW杯、EUROを制する日は来るか
posted2021/04/09 06:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
「あれがゴールだなんてね、フットボール史上に残る汚点だ」
「テクノロジー全盛の昨今なら、絶対にノーゴール」
半世紀が過ぎているのに、批判は依然として後を絶たない。
1966年のワールドカップ……。開催国のイングランドは西ドイツ(現ドイツ)を破って初優勝したものの、延長戦に入った101分のジョフ・ハーストの一撃が、ゴールラインを完全に通過していたのかいないのか、どちらかといえば否定的な見解が多い。
50年以上も前の不鮮明な映像を何度も何度もチェックすると、ほぼゴールライン上だ。ハーストのゴールが取り消されていれば、試合はどちらに転んだか分からない。
低迷が続いたイングランド
その後、イングランドは低迷が続く。
1970年メキシコ大会は準々決勝で西ドイツに敗れた。4年後の西ドイツ大会は、予選でオリンピック・チャンピオン(当時)のポーランドに屈し、DFロイ・マクファーランドはスパイクシューズを脱ぎ捨てて悔しさを表現した。78年アルゼンチン大会も予選で屈し、82年スペイン大会も2次リーグ敗退……。
さらに86年メキシコ大会はディエゴ・マラドーナの"ゴッドハンド"と"5人抜き" の引き立て役に甘んじ、続く90年イタリア大会はガリー・リネカー、ポール・ガスコイン、クリス・ワドルといったタレントを擁しながら、3位決定戦でイタリアに敗れている。
以降、予選で躓いたり、本大会に進出してもベスト8進出が精いっぱいだったり、イングランドはW杯では周囲の期待に応えていない。
ベッカム、ジェラードがいたのに……
デイビッド・ベッカム、ポール・スコールズ、リオ・ファーディナンド、スティーブン・ジェラード、フランク・ランパード、アシュリー・コールなど、綺羅星のごときタレントをそろえた2000年代前期も、クラブ間の派閥抗争がもとでチームとしての一体感、協調性に著しく欠けていた。