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【もうすぐ40歳】ロッテ鳥谷敬はどうやって“最年長”開幕スタメンに? 練習も食事も睡眠も「18年後を考えながらやってきた」
posted2021/04/05 11:02
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
背番号「00」が開幕スタメンに名を連ね、また1つ、記録に名を残した。
千葉ロッテマリーンズ鳥谷敬内野手が3月26日、福岡・PayPayドームでの福岡ソフトバンクホークスとの開幕戦に7番・遊撃でスタメン出場。遊撃手の39歳9カ月での開幕スタメンは2014年の東北楽天ゴールデンイーグルス・松井稼頭央(38歳5カ月)を上回り、史上最高齢となった。
自身、開幕スタメン・ショートは16年以来、5年ぶりだった。軽やかな動きと好調な打撃でアピールし、経験の浅い若手選手の多い打線における重要なピースを任された。
5回1死二塁のチャンスで巡ってきた2打席目では、カウント1-1からホークス先発・石川柊太投手が投じたフォークにバットを合わせると、打球は一、二塁間を抜けていった。これが今季初安打でプロ通算2091安打目となった。しかし、試合後はチームの黒星発進に悔しさを口にした。
「チームとしてなんとか勝ってスタートをしたかった。勝つことが一番。悔しい一日となってしまった」
記録よりも、自身の結果よりも、チームの勝利に貢献することを第一にしてきた男の脳裏にあるのは負けた悔しさだけだった。メディアは「開幕史上最年長遊撃手スタメン」に注目をしたが、本人はいたってクールに淡々と振り返り、球場を後にした。
「雰囲気を経験するのが大事」
安田尚憲内野手、山口航輝外野手がプロ初の開幕スタメンに名を連ねた。緊張する若者たち――ただ、鳥谷にも当然、緊張感はあった。
「開幕はみんな不安。それは何年経っても変わるものではない。(若い選手に)自分がどうこう言うことはないけど、こういう雰囲気を経験するのが大事。そうやって成長をしていくしかない」
自分の力を出せずにゲームに敗れベンチで悔しがる後輩たちの姿を目にした鳥谷は、そのように口にして優しい視線を投げかけた。
この悔しさと経験が先に生きる。プロ18年目の大ベテランはそのことを誰よりも知っている。だから前を向くことを促し、自身も次を見据えた。