2020年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
「マヂラブ野田さんはデッドリフト250kgあげるんですよ」“筋トレ芸人”東京ホテイソン、M-1の勝ち方を分析する
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2021/04/04 11:04
東京ホテイソンのたける(左、ツッコミ)とショーゴ(右、ボケ)。ショーゴは筋トレ芸人でもある
たける 漫才に定義なんて、ないんじゃないかな。漫才のルーツを辿ったら、楽器を持ってしゃべっていたわけですよね。それがいつの間にか楽器を持っちゃダメみたいな流れになって。でも、前大会では、鼓を持ったすゑひろがりずさんが出てきて、今、人気者になっているわけじゃないですか。
ショーゴ たけるなんか、東京ホテイソンの前のコンビのとき、自分でネタを書いてて、いきなりスパイダーマンのお面をかぶり出したりしてたんですから。
たける あれも漫才だもんな。
ショーゴ あれは漫才じゃないですね。あれだけは。ふざけてるだけの大学生ですね。
「マヂラブ野田さんはデッドリフト250キロあげるんですよ」
――野田さんって、パッと見、そういうタイプには見えないのですが、すごい戦略的と言いますか、すごく考えていらっしゃる方ですよね。
ショーゴ メッチャ真面目ですもん。ゲームを作っちゃうくらいだから、頭もいい。あと、1つのことに、ちゃんとはまれる人なんで。自分が筋トレやってるからわかるんですけど、普通の人は、あんなに筋トレ続けられないですよ。もともとはガリガリだったんですから。
――あの体を見れば、物事に対する突き詰め方の深度がわかるわけですね。
ショーゴ だって、デッドリフトで250キロ上げるんですよ。下に置いたバーベルを腰のあたりまで引き上げるトレーニングなんですけど、全身に負荷がかかる。200キロ上げられたら相当すごい。でも野田さんはそれ以上ですから。よくそこまで極めたな、って。
――そのスタンスは芸にも通じている、と。
ショーゴ デビューした頃から知っていますけど、あの人自身は、ぜんぜん変わってない。ずっと同じことをやってきた。それで、絶対負けないぞ、っていう思いも半端じゃない。
マヂラブもミルクボーイも「競技漫才ではない」
――もう今年のM-1に向けて、ネタ作りは始めているのですか。
ショーゴ マヂカルラブリーさんが優勝したことで、1つ、突破口を開いてくれた気がするんです。2人の漫才って、今まで言われていたM-1用の、いわゆる競技漫才とは違うじゃないですか。これまでは、とにかくテンポアップして、極限までボケ数を増やすみたいなのが主流だった。でも、ミルクボーイさんもそうでしたけど、ボケ数勝負ではなかった。ウケてる時間の長さの方が大事な気がしますね。
――特に今大会はその傾向が強かったですよね。